そこまで言って、ようやく気付くわたしは、やっぱり馬鹿ちんなのだろう。ある意味、ヒナタくんもかわいそうな状況に……。
「余計なことを言ったのはこの口か」
「んんーっ」
「いや、別に怒ってはないけど……」
「……んん?」
「いや、普通に恥ずかしいじゃん。ダダ漏れだし」
「……ヒナタくんでも恥ずかしいの?」
「当たり前でしょうが。人をなんだと思ってんの」
「……ふふっ。自慢の彼氏さんですよっ」
目を瞠った彼に、スリスリと甘えるように寄ってみると、彼はおもむろにわたしの頭を抱えるように抱きしめてきた。
「……ひなたくん?」
「今、どうしようもなく変な顔してるから……」
そう言って、腕の力を強めた。
一体、どんな変な顔をしているんだろうか。やっぱり気になってしまったけれど、ここは彼のプライドを優先してあげることにした。たくさんたくさん、わたしは優先してもらってるから。
「ねえヒナタくん」
「ん……?」
「わたしね、こういうことって大人になってから……結婚してからするものだって思ってたの」
「……うん」
「あ、別に嫌とかじゃなくてね? キサちゃんに訊いたら、時代間違えて生まれてきたんだねって言われたよ」
「何を訊いてんの何を」
ほんと、つい最近まで思ってた。だから、そういう意味では人一倍、心の準備が要ったのかなって。
「……別に、それなら待ったのに」
「あ。……だからほんと、そういう意味ではなくて」
「ああごめん。いや、それならそれで、大人になってからでもオレはよかったのにって話で」
「え? でも、その……い、いろいろ限界? なのでは」
「そりゃ触りたいって気持ちはあるけど。でもオレ、別にあんたの体目当てで彼氏になったわけじゃないし、好きになったわけでもない」
「……だから、オレらはオレらのペースで、ゆっくりしてけばいいんじゃないの?」と、前に言ったわたしの言葉が、彼のやさしさを交えて返ってくる。
「……ふふ。そのとおりだね」
こんなにも大事にされて。こんなにも大好きな彼に愛されて。わたしは、なんて幸せ者なのだろう。
「ま、本当にゆっくりペースにはなりそうだけど」
「え? ……どうして?」
「……せめて三本かな」
「えっ?」
「ん? もっと詳しく知りたい?」
「……きょ、今日はやめとこうかな……」
「いいよ? オレは今からでも」
「明日早いから寝なきゃ。おやすみ」
「……」
「……」
つんつん。
……つんつん。
「……あ、三本入ればそこまで痛くはないと思うって意味ね」
「ちょっと。思ってたのと違う」
「じゃあ何思ってた?」
「……ひなたくん、ねむたくないの……?」
「寧ろ冴えてる。……ねえ、可愛い声聞きたい。可愛い顔見たい」
「……またこんどね」
けれど、どっと睡魔に襲われ始めるそんなわたしを余所に、彼は俯せになったわたしに覆い被さるように組み敷いてきた。
「ちょ、……ひなたくん本当に……」
「あおいは何もしなくていいよ。寝てて? オレが勝手にするだけだから」
そして、今度は背中側を刺激してくる彼に、このまま黙って寝ていられるはずもなく。
彼の愛の攻撃に付き合わされたわたしが眠りにつけたのは、朝日が昇った頃だった。
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