すべての花へそして君へ②


 何度も、……何度も何度も。啄むようなキスを落として、名残惜しそうに彼はゆっくりと離れていった。
 酸欠でぼーっとしている間に、再び戻って組み敷いてくる彼は、何度もやさしく、わたしの頭を撫でながら髪を梳く。そうされるだけで気持ちよくて、一気に目蓋が重くなった。


「……あおい。寝ないで」


 可愛い声に呼び起こされ何とか意識を繋いでいたけれど、あてがわれたそれに、あつさに、一気に目が覚めた。


「っ」

「そんなに力入れられたら、入るものも入らないんだけど」

「は、……はい、る……の?」

「やってみる前から諦めるの?」


 ……なんだ、この遣り取り。
 こんなところで負けず嫌いを焚き付けてどうするってんだい。


「……大丈夫。無理はさせないから」


 けれど彼は、やさしい顔でまた、わたしの頭を撫でた。


「ひなたくん……」

「だから、痛かったら我慢しないで。すぐ言って」

「……うん」

「いい子」


 そしてもう一度頭を撫でて、彼は再び、わたしの体をこれでもかと言うほどやさしく、慈しむように触れてくる。
 指先で、唇で、舌先で。触れられたそこから、あっという間に力が入らなくなる。
 それでも彼は、時間をかけてわたしを愛してくれた。


「あおい」


 ……そして、もう一度そこへ、彼は触れた。
 ゆっくりと、気遣うように彼は体を沈めてくる。けれど、逆にそれがもどかしくて焦れったくて、何度も何度も、彼の名を呼んだ。


「いっ……」


 彼のおかげでそこまでの痛みはなかったものの、思っていたものを超える質量に思わず、小さく声を洩らしてしまった。
 それを、目の前にいる彼が聞き逃すわけもなく。


「まだちょっと早かったかな」


 離れた彼は、「ごめんね、無理させて」と、上から包み込むように抱きしめてくれた。
 慌てて首を振ってわけを話すと、一瞬目を丸くしたあと可笑しそうに彼は笑う。


「でもま、痛い思いさせたいわけじゃないからね」


「またゆっくり慣らせばいいよ」と、ごろんとわたしの横に寝転んで、目を細めながらまた頭を撫でてくれた。
 もしかして、いつも彼はこんな風に撫でてくれていたのだろうか。だとしたら、なんてもったいないことを今までわたしはしていたのだろう。


「ん? ……なーに」


 愛おしそうな顔でわたしだけを見つめてくれているのに。こんな貴重な表情を、もっと前から独り占めできてたのに。
 それでもやっぱり、見られて嬉しいことには変わりないので、そっと彼に擦り寄った。


「がんばって、起きててよかったなーって」

「あ。頑張ってたんだ」

「うん。これでもう、馬鹿ちんともヒナタくんをかわいそうだとも言わせない」

「……ん? 誰にそんなこと言われたの」

「え? キサちゃんとユズちゃんに……あ」

「……へー」