『……さようなら。大好きな明るいおひさま』
お金持ちのモグラと
結婚することになったおやゆび姫は
地中深く潜る前に一度
お日様を見に行きました
お日様を見て、思います
先日傷を負った少年は、大丈夫だろうかと
『もう、会えない。……もう一度会いたいです』
その少年を介抱したおやゆび姫は
彼に会いたくて仕方がありませんでした
……本当は、彼が大好きだったのです
彼と、もっと一緒にいたかったのです
『……さようなら。わたしのおひさま』
涙を流しながら、おやゆび姫は
真っ直ぐ太陽に向け、手を伸ばします
もう一度、あなたに会いたかった
もう一度、あなたに触れたかった
そんな思いを、ぎゅっと胸に抱えました
――そう思っていたときです
急に夜になったのかと思うくらい、
おやゆび姫の世界が暗くなりました
そして、声が聞こえます
聞きたくて聞きたくてしょうがなかった声でした
『こんなところにいたんだね。ぼ……僕のかわいいお姫様』
ちょっと照れているアキラくんが貴重で、そっちの方でも悲鳴が上がっていた。
そして、再びひょこひょこと黒衣さんが登場。……えーっと、なになに……?
選択肢1
【おやゆび姫と一緒に旅立つ+お姫様だっこ】
選択肢2
【おやゆび姫と一緒に旅立つ+肩車】
「ぅおい!! なんだこの選択肢! 結局運ばれることに変わりねえだろ!?」
「はーい、そこのちっちゃいおやゆび姫はちょっと黙っててー」
「ひなっ、てんめえー! お前今担当じゃないだろ!? アキ、頼む。オレに……、オレに救済処置を……!!」
「ノープロブレム」
「いや、返しおかしいっつの……」
「ダイジョブ。今チカ、トッテモ可愛イ。自信持ツ」
「何でちょっとカタコトなんだよ」
「俺も今精神的ダメージが大きい」
「お、おう……。そうか。アキも大変だもんな」
相変わらずチカくんは弄られ担当らしい。案の定、会場にはどっと笑いが起きている。
「……だいたいなあ、ヒナタが二日とも朗読担当引くなんておかしいんだよ。なんだかんだでやりたくなかったんだぜあいつ。提案してきた本人だっていうのに」
なあ? なんて同意を求めてくる視線には小さく笑いで返すことにして、わたしはそっと、彼の――おやゆび姫の手を取った。
「うわっ! ちょ、待てアオイ」
「……やっぱり、お姫様だっこ嫌……?」
「……い、いや、死ぬほど嫌というわけでは。あ、あのな、男のプライドというものが邪魔してだな、素直に女に抱っこされるというのがまず不味い――」
「それじゃあ肩車にしよっか。よいしょっと」
「だあー!! マズい! 本気でマズい! スカートん中見えるっ。オレの沽券に関わる……!!」
「……股間に関わるの間違いじゃなくて?」
「思ってても女子がそういうこと言うもんじゃありません」
上を向くと、つんと軽くおでこを突かれる。
……なんだろな。その可愛い恰好のせいかな。無性に悪戯したくてたまらない。



