――再び幕が上がるまであと3分。
「やーっぱりね。なんかあったと思ったわ」
と、いったところで復活した女王様に無理矢理吐かされました。
何を吐かされたか。それはもちろん、昨日のことです、ハイ。
「菊ちゃん一筋のあたしが、今までどんな男に言い寄られても靡かなかったのに、このキザな女誑し王子にフラフラするなんておかしいと思った」
「きっ……い、いや、わたしはあくまでその可能性を言ったまでであって」
「いや、確実にそうでしょうよ。だってあっちゃん、王子の時の色気すごいよ? というかエロい」
「っ!?」
自分でやっといてなんだけど、今頃になって恥ずかしくなった。
劇はまだまだ始まったばっかりなのに。もうすぐまた幕が上がるのに……っ。
「さぞ昨晩はお熱い夜をお過ごしになったようで?」
ニヤニヤと、真っ赤になっているわたしの顔を見て、彼女は楽しそうに笑っていた。
せめて、劇が終わってから言えばよかったっ。
「あっちゃんが元気そうでよかった」
「……キサちゃん」
「もちろんあいつも。二人ともなんか吹っ切れたーみたいな顔してるから」
「……皆様には大変なご心配とご迷惑をおかけしまして……」
「それはまた、昨日の熱い夜のことを詳しく話してもらうことでチャラにしてあげましょう」
「……えっ!?」
「ほらほらー。そろそろ王子スイッチ入れないとー。そっちのあっちゃんも可愛くてモテモテだけど、今求められてるのはエロ王子だからねー」
「……なんかそれヤダッ」
――――そして再び、幕が上がる。
……カタストロフ。
きっかけなんて何もない。突然じゃないことくらい、わかってた。
じわじわとそれは、蝕んでいたのだから。



