『……顔を上げて、シンデレラ』
シンデレラの髪を掬い、そっと耳にかけながら顔を上へと向かせる。
『美しい君に、涙は似合わない』
そして、日々の努力や苦労が垣間見える彼女の美しい御御足をそっと取り、そこへピンク色のガラスの靴を履かせた。
『これは僕からのプレゼントだ。一晩限りの……楽しい夢物語を君に』
『――さあ立って』そう言って彼女の腕を引き、細い腰に腕を回す。
『……笑って? シンデレラ。僕に君の素敵な笑顔を見せて』
そうしてタイミングよく流れ出した円舞曲に合わせ、ぐいっと彼女の腰を引く。
一瞬驚いた様子のシンデレラに、そっと微笑んで……。
『大丈夫。怖がらないで。僕に身を任せてくれればいい。君はただ、このひとときを楽しむことだけ……僕のことだけを考えて』
耳元へそっと唇を寄せて、そんな風に囁く。
ほんのりシンデレラの頬が赤く染まったような気がした。
――――――…………
――――……
自身もこの時間を楽しみ始めた頃、お城の方でゴーンとひとときを終わらせる悲しい鐘が鳴ってしまった。
『今夜はすごく楽しかった。ありがとう、シンデレラ』
名残惜しさを指先まで残し。彼女からそっと離れ、このまま衣装を翻して舞台袖へと消えようとした。
「……あっ」
けれどそのとき、シンデレラが声を発してしまった。
まるで、王子を呼び止めるように。思わず出てしまったという顔をして。
「……『……もう一曲、だけ』思わず呼び止めてしまったシンデレラから、再度ダンスの申し出をされた王子は一度驚いたあと、彼女にこう答えます」
アキラくんのナイスフォローとアシストを受け、そっと彼女に近付き、その美しい手を取る。
『先に言われてしまうなんて、僕はなんて幸せ者だろう』
そのまま、彼女の前に跪いた。
『もう一曲、踊っていただけますか。僕のシンデレラ』



