昔々、とある西の国に
一人の王子様がいました
慄く程の才と武力と美貌を持つ彼には
目に映るものすべてを
魅了する力があったそうです
そんな噂を聞きつけて
多くの国から結婚の申し出が届くようになり
王様王妃様は頭を抱えておりました
なぜなら――――
『……お、王子……』
『……? ああ、やあおはよう。君もおいでよ』
『行きません。早くお支度をなさってください。朝食のお時間です』
『そうか。それでは仕方がないな。せっかくの料理が冷めてしまう』
『えー。行ってしまわれるの……』
『……ああ。また熱いうちに食べさせてくれ。君を』
『やんっ王子ったら』
『何処ぞの誰ともわからないあなたはさっさとここから出て行きなさい……!!』
なぜなら王子は
確かに噂通りの人物だったものの
女誑しという欠陥王子だったからです
(……え。絶対それ、王子の性格間違ってるよ……?)
「『はあ。王様から大事なお話があるとのことです。お食事が終わられましたら王の間へ来るようにと』伝言を受け取った王子は身支度を調え、寝床にいた女性たちに別れのキスをし、朝食に向かいました」
そんな視線の訴えも虚しく、ヒナタくんは淡々と劇を進行している。
ていうか女の人一人じゃなかったんだね。ベッド大っきいねー。
(そっ、その王子をわたしに演じろというのか君は……!!)
視線じゃ見えなかったのかもと思って、身振り手振りで一生懸命訴えた。それでも無理なら手旗信号で……えーっと確か、……【お、う、じ、の、せ、つ、て、い、が――
「『それは一体、どういうことですか!?』」
(え? 何がですか??)
「王様王妃様が下した決断は、他国貿易の任とは名目上の、この国からの追放だったのです」
(え!? そこまでする!?)
ていうかヒナタくん、絶対気付いてるのに完璧スルーだし。ちょっと笑ってるし。
観客席暗いから見えないと思ってる? わたしの視力、2.0↑でっせ??
「そして、とうとう国を追放された王子は、ある決断をします。『このまま終わってなるものか』それは、王子による復讐劇の始まりでした」
不穏! 不穏すぎる!
御伽話なのにものすごく穏やかじゃないよー!



