むかしむかし
 あるところに
 自分の名前をなくしてしまった花が
 ありました

 名前をなくしたその花は
 いつもいつもひとりぼっちでした

 自分のことをいつも
 知ってほしかった
 自分のことをいつも
 わかってほしかった

 でも知ってしまったら
 わかってしまったら
 自分が嫌われてしまうと
 いつもビクビク怯えていました

 でも
 そんなお花を
 お日さまがずっと見守っていてくれました

 お日さまのおかげでお花は
 苦しくなくなりました
 悲しくなくなりました
 寂しくなくなりました

 名前をとりもどしてくれたお日さまを
 自分を咲かせてくれたお日さまを
 その花は大好きになりましたとさ


 それは本当の物語