押さえつけるように添えられた後頭部の大きな手。締め付けるように回された腰元の長い腕。耳元の囁きに隠れた言葉が、わたしの抵抗しようとする気力さえ、削いでいった。
「……ちょっとは抵抗しろアホ」
「しようと……したん、だけど」
「は?」
「ちから……が。はいん、なくて」
「……バカ。こんなになるまで我慢してるからだ」
さっきは、あんなに強く拘束していたというのに。大きなため息を落とした彼は、ポンポンと頭を叩いたあと、そっと腕の力を緩めた。
「……お、おいっ」
けれど、力の入れ方を忘れたわたしの体はそのまま後ろに倒れた。幸いにも、ツバサくんが慌てて支えてくれたおかげで、絶壁後頭部陥没! なんてことにはならずに済んだけれど。
「このまま寝とけ」
「……ごめんなさい」
そのまま横にしてくれた彼は、再び大きなため息をついたあと、気怠そうにゆっくりと立ち上がった。その手には先程まで飲んでいた缶コーヒー。……また、買いに行くのかな。
「ちょっと、ここで待ってろ」
「何か買ってきてくれるの?」
「連れてくるから」
「……え」
「もう見てらんねえ」
「……えっ! ちょ、ちょっと待って……!」
何とか気力を振り絞り、彼の足にしがみつく。けれど、元々力持ちの彼だ。わたしくらいの重りなんて屁でもないだろうし、なんならこのままわたしの方が連れて行かれそうな勢いだ。必死に、ステージ脇のカーテンを足で挟んで抵抗した。
「どんだけ嫌なんだよ」
「こ、これだけ……!」
「……だったらいい加減話してくれ。ほんと、マジで見てらんねえんだって」
「……いえ、ない」
「だったらあいつ連れてくるわ。もう我慢の限界」
「そんなことしたら、もうツバサくんは外を歩けなくなるよ」
「……おい。何するつもりだよ」
「走ってる車に全裸で括り付ける」
「……ふざけ」
「本気」
「(目マジだしこいつ……)」
観念したのか、取り敢えず行くのはやめてくれた。けれど、まだ彼は立ったまま。隣には、座ってくれなかった。
「……話してくれない理由は」
「…………」
「往生際が悪いぞ。言っとくけどな、俺の全裸で何とかなるなら本気で俺は日向を連れて」
「言えない」
「……は? だからどうして」
「言え、ないんだ。言葉にしたら……わたしは」
そこまで口にすると、彼は勢いよくわたしに掴み掛かった。
「どういうことだよ! まさかお前、また変な霊とか、呪いとかにかかってるんじゃ」
「えっ? だ、大丈夫。今のところ、それはない……です」
あまりの必死さに、驚きで目を丸くしながら何とかそう答える。
すると、余程ほっと安心したのか。彼はへなへなと座り込んだ。
「……ビビらせんなマジで」
ものすごい睨んでくるけどっ。
「……ちょっとは抵抗しろアホ」
「しようと……したん、だけど」
「は?」
「ちから……が。はいん、なくて」
「……バカ。こんなになるまで我慢してるからだ」
さっきは、あんなに強く拘束していたというのに。大きなため息を落とした彼は、ポンポンと頭を叩いたあと、そっと腕の力を緩めた。
「……お、おいっ」
けれど、力の入れ方を忘れたわたしの体はそのまま後ろに倒れた。幸いにも、ツバサくんが慌てて支えてくれたおかげで、絶壁後頭部陥没! なんてことにはならずに済んだけれど。
「このまま寝とけ」
「……ごめんなさい」
そのまま横にしてくれた彼は、再び大きなため息をついたあと、気怠そうにゆっくりと立ち上がった。その手には先程まで飲んでいた缶コーヒー。……また、買いに行くのかな。
「ちょっと、ここで待ってろ」
「何か買ってきてくれるの?」
「連れてくるから」
「……え」
「もう見てらんねえ」
「……えっ! ちょ、ちょっと待って……!」
何とか気力を振り絞り、彼の足にしがみつく。けれど、元々力持ちの彼だ。わたしくらいの重りなんて屁でもないだろうし、なんならこのままわたしの方が連れて行かれそうな勢いだ。必死に、ステージ脇のカーテンを足で挟んで抵抗した。
「どんだけ嫌なんだよ」
「こ、これだけ……!」
「……だったらいい加減話してくれ。ほんと、マジで見てらんねえんだって」
「……いえ、ない」
「だったらあいつ連れてくるわ。もう我慢の限界」
「そんなことしたら、もうツバサくんは外を歩けなくなるよ」
「……おい。何するつもりだよ」
「走ってる車に全裸で括り付ける」
「……ふざけ」
「本気」
「(目マジだしこいつ……)」
観念したのか、取り敢えず行くのはやめてくれた。けれど、まだ彼は立ったまま。隣には、座ってくれなかった。
「……話してくれない理由は」
「…………」
「往生際が悪いぞ。言っとくけどな、俺の全裸で何とかなるなら本気で俺は日向を連れて」
「言えない」
「……は? だからどうして」
「言え、ないんだ。言葉にしたら……わたしは」
そこまで口にすると、彼は勢いよくわたしに掴み掛かった。
「どういうことだよ! まさかお前、また変な霊とか、呪いとかにかかってるんじゃ」
「えっ? だ、大丈夫。今のところ、それはない……です」
あまりの必死さに、驚きで目を丸くしながら何とかそう答える。
すると、余程ほっと安心したのか。彼はへなへなと座り込んだ。
「……ビビらせんなマジで」
ものすごい睨んでくるけどっ。



