すべての花へそして君へ②


 完全に墓穴を掘ってしまったカナデくんは、頭を抱えながらしゃがみ込んでしまった。


「大丈夫だカナデくん。わたしよりもツバサくんの方が的確なアドバイスができるよ。保証する」

「どうせならマイク使って大声で叫んでみろよ。ちょっとはスッキリするぞ」

「これのどこがいいアドバイス!? ホールでわざわざ悩み叫んでも虚しいだけだから!」


「……ていうかなんで二人してまだこんなところにいるの。キサちゃんたち下にいるんじゃないの?」ぜえぜえと突っ込み疲れたカナデくんは、息を整えてから高めのステージに手を突いてひょいっと軽々わたしの隣に座る。


「紀紗たちとはさっき擦れ違った。ここにいるのは……」

「気分!」

「だってさ」

「気分、ね」


 けれど、彼は口にすることを躊躇っているのか、じっと押し黙っていた。やっぱり、言いづらいのだろうか。


「相談相手にツバサくんは一番適任だよ。太鼓判押すよ。口は堅いし全部を聞こうとはしないし欲しい言葉はくれるし、でもたまに核心つかれてあいたたたた……ってなるけど」

「上げてから落とすのやめろよ」

「え? 全部褒め言葉なのに」

「……あっそ」

「照れてる。珍しいね」

「ちょっ、あんま見てくんな」

「えー」

「……あの。相談、いいですか」

「「あ。どうぞどうぞ」」


 目の据わったカナデくんはため息を落としたあと、すっと目線を下げて「……これ」とわたしたちにスマホ画面を見せてくる。
 そこには、ある子との連絡のやりとりが映っていた。……いや、映っているはずだった。
 けれどあったのは、送信した彼のメッセージのみ。相手からの連絡もなければ〈既読〉の文字すらついていない。


「……柚子?」

「ん。そう」

「……ああ、それで相談ね」


 それだけですべてを悟ったツバサくんは、画面を覗き込みながら考え込むようにそっと顎に手を添えていた。
 けれど、わたしは経験値不足。これだけですべてを悟ることはできないので、ここから彼が何を相談したいのか、はっきり言葉にしてもらうことに。


「……たぶん、避けられてる」

「思いつく理由は?」


 スマホが壊れたのかもしれない――そんなことを一瞬思ったけれど、彼のメッセージはわたしたちが一緒にデザートバイキングに行ったときよりも前から、既読になってはいなかった。
 そして……彼女はあのとき、スマホの着信に少なからず驚いていた。時間も、確かこのくらいだった。