完全に墓穴を掘ってしまったカナデくんは、頭を抱えながらしゃがみ込んでしまった。
「大丈夫だカナデくん。わたしよりもツバサくんの方が的確なアドバイスができるよ。保証する」
「どうせならマイク使って大声で叫んでみろよ。ちょっとはスッキリするぞ」
「これのどこがいいアドバイス!? ホールでわざわざ悩み叫んでも虚しいだけだから!」
「……ていうかなんで二人してまだこんなところにいるの。キサちゃんたち下にいるんじゃないの?」ぜえぜえと突っ込み疲れたカナデくんは、息を整えてから高めのステージに手を突いてひょいっと軽々わたしの隣に座る。
「紀紗たちとはさっき擦れ違った。ここにいるのは……」
「気分!」
「だってさ」
「気分、ね」
けれど、彼は口にすることを躊躇っているのか、じっと押し黙っていた。やっぱり、言いづらいのだろうか。
「相談相手にツバサくんは一番適任だよ。太鼓判押すよ。口は堅いし全部を聞こうとはしないし欲しい言葉はくれるし、でもたまに核心つかれてあいたたたた……ってなるけど」
「上げてから落とすのやめろよ」
「え? 全部褒め言葉なのに」
「……あっそ」
「照れてる。珍しいね」
「ちょっ、あんま見てくんな」
「えー」
「……あの。相談、いいですか」
「「あ。どうぞどうぞ」」
目の据わったカナデくんはため息を落としたあと、すっと目線を下げて「……これ」とわたしたちにスマホ画面を見せてくる。
そこには、ある子との連絡のやりとりが映っていた。……いや、映っているはずだった。
けれどあったのは、送信した彼のメッセージのみ。相手からの連絡もなければ〈既読〉の文字すらついていない。
「……柚子?」
「ん。そう」
「……ああ、それで相談ね」
それだけですべてを悟ったツバサくんは、画面を覗き込みながら考え込むようにそっと顎に手を添えていた。
けれど、わたしは経験値不足。これだけですべてを悟ることはできないので、ここから彼が何を相談したいのか、はっきり言葉にしてもらうことに。
「……たぶん、避けられてる」
「思いつく理由は?」
スマホが壊れたのかもしれない――そんなことを一瞬思ったけれど、彼のメッセージはわたしたちが一緒にデザートバイキングに行ったときよりも前から、既読になってはいなかった。
そして……彼女はあのとき、スマホの着信に少なからず驚いていた。時間も、確かこのくらいだった。



