蔑みの瞳で見つめてくるカグヤに
桃子は緩く首を振りました
『カグヤ様、どうかもうこのようなことはお止めください』
『このようなこと……など、一体この私がいつ、どのような悪事を働いたというのだ』
そして彼は
これでもかというほど桃子に吐き出します
こちらは、丁重に断りを入れたのだと
それなのに、勝手に貢いでいくのだと
あまりにも執念深く付き纏ってくるのだと
時には命さえ狙われているのだと
そんなカグヤに、桃子は問います
『お噂では、とても高貴な方からも求婚を受けているとうかがっております。……カグヤ様。あなたの心は今、何処に向けられているのでしょう――』
観客すべての視線がステージに集まり、どこか寂しそうに語られる彼の声に、自然と耳を傾けられる。
「……すげえな」
もちろん、舞台袖にいるわたしたちも、この世界にのまれてしまいそうになる。
『――……それを申したところで、何となるのか』
鼻で嗤うカグヤに
桃子は続けて話します
『そうしてご自身を傷付けておられる貴方様の、お力になりたいのでございます』
『……なにを』
『カグヤ様がお抱えになっている悲しみを寂しさを、少しでも安らかにして差し上げたいのです――――』
「……かんっぜんにかぐや姫関係なくなってきたな」
「うん。まあでも、何となくどうなるのかわかるかな」
「そうだな」
少しずつオリジナルを交えていく彼が紡ぐ物語に、わたしたちは目を合わせ大きく頷き。
「それじゃ、本公演一番の大仕事、してきましょうか!」
「「ああ」」
そうして黒衣三人組は、舞台袖から闇に溶け込むように、姿を消したのだった。



