旅に出た桃子は
罠にかかっていた鶴を助け
『決して扉を開けられませんよう……』
その後現れた美しい人との約束を守り……
『お礼に竜宮城へご招待させてください』
当たり前のことをしただけだと
助けた亀から気持ちだけを受け取り……
サメを騙して海を渡ろうとする白いウサギには
『酷いことをすれば、必ずそれは自分に返ってきます』
きび団子をあげながら
そっとやさしく忠告をしてあげました
そんな三匹の動物たちは
清く正しく美しく
そしてやさしくて思慮深い彼女の仲間になりました
そして、旅をしていた一行の元に、とある噂が聞こえてきたのです
とある金持ちの家に
それはそれは美しいお人がいるそうな
けれどどうやらその人は
その美貌をいいことに
多くの求婚者から貢がれた金品をせしめたり
無理難題を押し付け
終いには死者まで出しているとのこと
『それはいけない。やめさせなければ』
そうして桃子は鶴亀兎を連れて
そのお人がいると噂の月ヶ島へ海を渡りました
「……あれ? なんか桃太郎に戻ってる? わたし聞き間違えたかな。最終幕は【かぐや姫】って聞こえたんだけど……」
「これ、完全にかぐや悪者になってんな」
「まま、物語はあいつらに任せとけばいいって。頑張って来いよ。【最終幕のヒーロー】さん」
とんとツバサくんに背中を押されたもう一人の主役は、集中しているのか物語が変な流れになっていきそうにもかかわらず、無言でステージ横の階段を上っていく。
高く結われた長い髪が、歩くたび静かに揺れる。長い睫に伏し目がちな表情は、どこか愁いを帯びていた。
『お前も、この私に求婚をしに来たのか。女人が寄って集って来るとは、なんとはしたないことか』
ヒナタくんの台詞に合わせ、舞台に上がった美少年は着ている羽織をふわりと翻し、桃子一行に鋭く扇子を向ける。
今度は、かぐや姫ならぬカグヤに、会場の人たちの視線が一気に集まっていった。



