すべての花へそして君へ②


「そうして生まれてきた子どもに、おじいさんたちは桃子(ももこ)と名付けました」


 そして、ただ物語をシャッフルするのもなんなので、役どころも話し合いによりシャッフル。【第一幕主役】がレンくんということで、満場一致でヒロインにすることが決まったのだ。


「はいはーい。それじゃあレンくん、ちょっと屈んでくれるかい」

「目閉じろ。んで、できればアヒル口で唇突き出せー」


 わたしとツバサくんは黒衣担当。朗読担当の指示を受けて、大急ぎで主役を着飾っていく。
 ホワイトグレーのロングヘアに、桃色の長い羽織。化粧はツバサくんに任せればお手の物。


「くじに細工がしてあったとしか思えません。皆さんも皆さんで、オレをヒロインにしようとするし……」

「あはは……でもよく似合ってるよ!」

「ま、見栄えはするな。十分に」


 大きなため息を落とすレンくんに、わたしたちは二人して親指を立てておいたのだった。


「やっぱりレンって、性別間違えて生まれてきたんだね」

「やっぱりってどういう意味だ」

「そうして二人に育てられた桃子は、立派に美しい女性へと成長していきました」

「おい。無視するな」


 そんな適当な感じで物語が進行していく中、レンくんの出来映えに会場からは、わあ……と感嘆と同意の声が上がっていた。


「いや、マジで綺麗だぞ、ユッキー」

「う……嬉しくない」


 ツバサくんの小悪魔系美少女ならぬ、レンくんの清純派美少女。あまりの美しさと清い姿に、女性のみならず男性までもが目を釘付けにされた。
 それに二人してガッツポーズ。ツバサくんと打ち合わせしておいて大正解だ。


『可愛い子には旅をさせよ、とはよく言うものです。桃子、世の中を見て回り様々なことを経験し、清く正しく、そしてつよく、やさしい女性になりなさい。そうして桃子はきび団子一つをもって、旅に出て行ったのでした』


 ひとまずここで第一幕が終了。無事に【第一幕担当】の二役を成し遂げたチカくんが、舞台袖へと戻ってくる。


「ヒナタの奴、マジで容赦ねえ……」

「だな。明日が怖え」

「あはは……」


 あの人、見事に2公演とも朗読担当引き当てちゃったからね。ほんと、クジに仕掛けがしてあったんじゃないかって疑うのも無理はない。


「それじゃあチカくん、ここからはお手伝いよろしくね」

「任せろ」


 ここまでは、はじめに生徒会で決めていたのでスムーズにできた。だから、ここからが本当のシャッフル。実力が試されるのだ。


「それでは読み上げるよ~」

「可愛くしてね、チカ」

「お……おう、任せろアキ」


 同じく朗読担当を引いたカナデくんが、観客の人に引いてもらったクジを読み上げる声に、わたしたちは耳を澄ませた。


「シャッフルドラマ! 第二幕はー……【鶴の恩返し】」