「そうして生まれてきた子どもに、おじいさんたちは桃子と名付けました」
そして、ただ物語をシャッフルするのもなんなので、役どころも話し合いによりシャッフル。【第一幕主役】がレンくんということで、満場一致でヒロインにすることが決まったのだ。
「はいはーい。それじゃあレンくん、ちょっと屈んでくれるかい」
「目閉じろ。んで、できればアヒル口で唇突き出せー」
わたしとツバサくんは黒衣担当。朗読担当の指示を受けて、大急ぎで主役を着飾っていく。
ホワイトグレーのロングヘアに、桃色の長い羽織。化粧はツバサくんに任せればお手の物。
「くじに細工がしてあったとしか思えません。皆さんも皆さんで、オレをヒロインにしようとするし……」
「あはは……でもよく似合ってるよ!」
「ま、見栄えはするな。十分に」
大きなため息を落とすレンくんに、わたしたちは二人して親指を立てておいたのだった。
「やっぱりレンって、性別間違えて生まれてきたんだね」
「やっぱりってどういう意味だ」
「そうして二人に育てられた桃子は、立派に美しい女性へと成長していきました」
「おい。無視するな」
そんな適当な感じで物語が進行していく中、レンくんの出来映えに会場からは、わあ……と感嘆と同意の声が上がっていた。
「いや、マジで綺麗だぞ、ユッキー」
「う……嬉しくない」
ツバサくんの小悪魔系美少女ならぬ、レンくんの清純派美少女。あまりの美しさと清い姿に、女性のみならず男性までもが目を釘付けにされた。
それに二人してガッツポーズ。ツバサくんと打ち合わせしておいて大正解だ。
『可愛い子には旅をさせよ、とはよく言うものです。桃子、世の中を見て回り様々なことを経験し、清く正しく、そしてつよく、やさしい女性になりなさい。そうして桃子はきび団子一つをもって、旅に出て行ったのでした』
ひとまずここで第一幕が終了。無事に【第一幕担当】の二役を成し遂げたチカくんが、舞台袖へと戻ってくる。
「ヒナタの奴、マジで容赦ねえ……」
「だな。明日が怖え」
「あはは……」
あの人、見事に2公演とも朗読担当引き当てちゃったからね。ほんと、クジに仕掛けがしてあったんじゃないかって疑うのも無理はない。
「それじゃあチカくん、ここからはお手伝いよろしくね」
「任せろ」
ここまでは、はじめに生徒会で決めていたのでスムーズにできた。だから、ここからが本当のシャッフル。実力が試されるのだ。
「それでは読み上げるよ~」
「可愛くしてね、チカ」
「お……おう、任せろアキ」
同じく朗読担当を引いたカナデくんが、観客の人に引いてもらったクジを読み上げる声に、わたしたちは耳を澄ませた。
「シャッフルドラマ! 第二幕はー……【鶴の恩返し】」



