と、まあそのあと「会議中にイチャついてんじゃねえ」と冷ややかな目でみんなに睨まれてしまったのは言うまでもないが、見事そのときの案が採用されたのだった。
「さあ、早くしないとお客さんが乱入するよー」
「いやダメだろ普通に!」
現在、桃太郎のおじいさんおばあさん役に当たったチカくん(※一人二役)が、ステージの上でヒナタくんに文句を言っている。ちなみに、ヒナタくんはシャッフル&朗読担当だ。
「それじゃあチカがヒロイン役もやる? それはそれで面白そう」
「これ以上役増やすな!!」
「だ、大丈夫かな本当に……」
「まあ、ヒナタの奴がなんだかんだで上手くやって笑いとってるからいいんじゃないか」
そんなわたしはというと、ツバサくんと二人してステージの袖で劇の成り行きを見守っていた。
【サイレントドラマ】とは言いつつも、素人同然のわたしたちでは音無しの演技はさすがに無理と判断。台詞は全て朗読側にお任せで、言われたとおりにステージの人たちは動く形となった。
「はーい。じゃあここでリップ音くださーい」
「りっ!? で、できるかんなもん!!」
「はあ。わがままなキャストだなー。しょうがない、だったら投げキッスで許してあげるから」
「もっとできねえわ!!」
その朗読側からこんな風に振られたら、それに応えないといけないのだけど……人間誰しも得手不得手・適材適所というものがあるんだよ、ヒナタくん。
自分たちに都合のいいところだけ使いつつ、下準備とルールだけを決めてこのステージの幕は上がった。ちなみに、それぞれの役で打ち合わせはしたが、練習時間は0時間。シャッフルを決めるのは会場に来ているお客様。朗読担当の人がタイトルのみ記載されているシャッフルボックスを持って、会場内を彷徨く。
そうです。タイトルのみなので朗読担当に台本もありません。そして朗読者の指示は絶対。
誰!? ヒナタくんを担当にしたの誰!?
(※公平なくじ引き)
「……お、おぎゃあー……」
「あっ。ユッキー……! ヒナタ生まれた!! 空気読んで主役が生まれてくれた……!!」
「ちょっとレン。空気読んで」
「読まないと一向に話が進みそうになかったからな」
しかし、勇者レンくんが朗読者に刃向かい登場。おじいさんおばあさんは、喜びのあまり涙を浮かべている。
「……ちっ。あとで覚えとけよ」
ヒナタさーん。マイク。マイク拾っちゃってます。



