「ちょっとー。おじいさんおばあさん、動き止まってるんですけどー。早く愛し合ってくれないと話が先に進まないじゃん」
「愛し合えるかあー!!」
秋がますます深まってきた今日この頃。校内のある場所では、そんな大きな大きな声が響き渡っていました。
「一応サイレントドラマのテイなので、キャストは黙ってくださーい」
「つうか若返るってなんだよ! あ、愛し合うってなんだよ!!」
「あれ、チカ知らないの? 桃太郎の本当の話は子どもに説明するのにちょっと問題があったから――」
「そういうことじゃねえ! なんでその本当の話が混じってるんだよって言ってんだ!」
「混じってるも何も、オレが知ってる桃太郎の話はこっちが主流」
「観客全員の年齢確認してから出直してこい!!」
今チカくんが叫んでいる原因。それは、数ヶ月に遡る。
――――――…………
――――……
今年も、クラスとは別で生徒会でも出し物をすることに。だが、断固としてそれを譲らない人たちが若干名。
「げーきー!」「コスプレ喫茶ー!」
どうやら、唯一去年外されてしまったのを物凄く引き摺っていたらしく、司会のわたしに血走った目線を必死に送ってくる。
「でも、今から劇の練習ってなると日程が厳しくなるよ」
そう。このときはまだ体育祭目前且つ、百合との親睦会も控えていた。それに、体育祭に続いて文化祭のテーマも、二人は作品を作る気満々でいるんだろう。
もしかしたら最後の合作になるかもしれないんだ。どうせなら、二人にはたくさん時間を割いてあげたいと思うのが、何も言わないみんなの本音だろう。
「なら、コスプレ喫茶なら問題ないよね~」
しかし、うち一人はこんな調子。「マミリンの衣装を絶対着てもらうんだ!」的な闘志がめらめらと伝わってくる。
けれど、その案になかなか首を縦に振れないのには、理由があるのだ。
「けど、ちょっとインパクトが足りないよね」
「そんなあー……」
もちろん、今年も生徒会の出し物にポイントは入らない。だから優勝賞品が目当てというわけでもない。
「でもここで頑張らないと、予算が完全に足りねえぞ」
「そうだね。コスプレ喫茶をするにしても、何か策を考えないと」



