「うんうん。いい感じに分かれたね! それじゃあ行こーう」


 と、一人楽しそうな仕掛け人は、そんな掛け声とともにわたしの肩を抱き寄せ歩き始める。けれど、もちろんそれをすんなり納得するような人の集まりじゃない。


「これは絶対作為的に仕組まれたものだ!」

「寧ろ、悪意さえ感じます……」


 真っ先に異議を唱えたのは、他でもないアイくん・レンくんペア。そして、カオルくん・アカネくんペア、ツバサくん・ヒナタくんペアも、少し複雑そうに……かなり不服そうに、仕掛け人へと視線を送っている。


「……証拠は?」

「うーん、なんだろう。やっぱりこのクジが怪しい?」

「缶の中に仕掛けがあるとか」

「でも、普通の空き缶みたいだよ?」


 特に問題のない平和そうなキサちゃん・チカくん・カナデくんの三人だけど、なんとなくペア作りには意図的なものを感じているようで……。
 それぞれが引いた割り箸やそれが入っていた缶を調べてはみるものの、やはり専門外のことはわからないみたいだ。


「あおいさんは!? わかりませんか!?」


 期待十分な眼差しが、一斉に注がれる。けれど、申し訳ないことにわたしは、正直仕掛けよりも違うことが気になっていて。


「あ、あの」

「ん? もしかして君まで、僕のこと疑ってる?」

「えっと。このタイムリミット、過ぎたら二人は……」

「別に、ドカーンって爆発したり、二人に危害を加えるとか、そんなことはしないよ」


 回答にほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。


「ただ僕の友達が数人、この部屋に入って行くくらい?」


「ああ、ちなみにみーんな可愛いもの&イケメン好きの男なんだけど――」と言った彼の首を引っ掴んでいたわたしは、気付けば大きな声を張り上げた。


「みんな! なんとしてでもオウリくんを野蛮な男たちから守るんだ!!」


 そしてみんなからの返事も突っ込みも待たず、猛ダッシュで部屋を飛び出して行ったのは――


(アキラ……)
(アキ……)
(あきクン……)
(アキくん……)
(皇さん……)


 もはや言うまでもない。