――――――…………
――――……
それは、まだアイくんが提出から戻ってきていないときのこと。
『あーおーいー』
いただいたお茶菓子を食べながらカオルくんとお喋りしていると、わたしを呼ぶ聞き覚えのない声が耳に届いた。
その気怠げな声に首を傾げながら、開いていく扉にこの場の全員が視線を送る。すると、そこに立っていたのは……。
『……ぎっ……』
――ぎゃあああ!!!!
真っ白な白衣をべっとりと朱に染めた、一人の男子生徒だったのだ。……あ。ちなみに、叫んだのはチカくんです。わたしもキサちゃんもビックリはしましたが、驚きすぎて声も出なかった、というのはまさにこのこと。
『そこは叫べよ、お前ら』
と、ツバサくんには呆れられました。あはは。
『桜の制服……。薫、今日だったっけ。親睦会ってやつ』
『はあい。今朝もお伝えしましたよおー』
『今朝会った? ごめーん。可愛い女の子の記憶しかないや』
そんなものすごい登場をした女誑しの彼はというと、ついさっきまで親睦会のことを忘れ、女の子たちと一緒に残って復習をしていたらしい。
なんでも、血塗れなのは授業の実験中に失敗したラットの解剖を、女の子に付き合って練習していたから。あまりにも血だらけになりアイくんに白衣を借りに来たところで、チカくんに叫ばれてしまったというわけだ。
そのあとすぐ、そんなスプラッター映画の一部を垣間見たわたしたちのところに遅れてアイくんが帰ってきた、という感じです。
ああ、ちなみに何度も頭の中で再生していたのは、チカくんの半泣きが見たかったからだよ。
「……どうかしたの?」
親睦会とは、名前のとおり親睦を深める会。あれから互いの学校のことを話しながら、特に話す内容を縛ることはせず、各々楽しく会話に花を咲かせていた。……ただ、さすがに忘れるわけにもいかず。
いろんな話をしつつチカくんの顔を思い出しつつ、未だに帰ってこない二人に少し心配になっていた頃。顔に出ていたのか、窺うようにタカトさんが声をかけてくれた。
「あ、……実は」
思えば、タカトさんはアキラくんに一度会っているはずだ。
――――……
それは、まだアイくんが提出から戻ってきていないときのこと。
『あーおーいー』
いただいたお茶菓子を食べながらカオルくんとお喋りしていると、わたしを呼ぶ聞き覚えのない声が耳に届いた。
その気怠げな声に首を傾げながら、開いていく扉にこの場の全員が視線を送る。すると、そこに立っていたのは……。
『……ぎっ……』
――ぎゃあああ!!!!
真っ白な白衣をべっとりと朱に染めた、一人の男子生徒だったのだ。……あ。ちなみに、叫んだのはチカくんです。わたしもキサちゃんもビックリはしましたが、驚きすぎて声も出なかった、というのはまさにこのこと。
『そこは叫べよ、お前ら』
と、ツバサくんには呆れられました。あはは。
『桜の制服……。薫、今日だったっけ。親睦会ってやつ』
『はあい。今朝もお伝えしましたよおー』
『今朝会った? ごめーん。可愛い女の子の記憶しかないや』
そんなものすごい登場をした女誑しの彼はというと、ついさっきまで親睦会のことを忘れ、女の子たちと一緒に残って復習をしていたらしい。
なんでも、血塗れなのは授業の実験中に失敗したラットの解剖を、女の子に付き合って練習していたから。あまりにも血だらけになりアイくんに白衣を借りに来たところで、チカくんに叫ばれてしまったというわけだ。
そのあとすぐ、そんなスプラッター映画の一部を垣間見たわたしたちのところに遅れてアイくんが帰ってきた、という感じです。
ああ、ちなみに何度も頭の中で再生していたのは、チカくんの半泣きが見たかったからだよ。
「……どうかしたの?」
親睦会とは、名前のとおり親睦を深める会。あれから互いの学校のことを話しながら、特に話す内容を縛ることはせず、各々楽しく会話に花を咲かせていた。……ただ、さすがに忘れるわけにもいかず。
いろんな話をしつつチカくんの顔を思い出しつつ、未だに帰ってこない二人に少し心配になっていた頃。顔に出ていたのか、窺うようにタカトさんが声をかけてくれた。
「あ、……実は」
思えば、タカトさんはアキラくんに一度会っているはずだ。



