『やりましたよ信人さん! 葵ちゃんの体操着ver.がゲットできます! 言質は戴きました! 録音済みです!』
『よくやった杜真くん! いっぱい撮ろうね! 焼き増しして引き伸ばして部屋に飾ろうね!!』
『はい!! 是非そうしましょう!!』
『……葵、大変だな』
『どうにかしてくれないかい』
『無理だ』
――カシャッ!
粗方そんな会話をしたあと、どうやらわたしに用がありそうだと雰囲気でいろいろ察し――
カシャカシャッ!
同じく察したらしいアキラくんを見送ったわたしはというと――
カシャカシャカシャカシャ!
カシャッカシャッカシャッ!!
「さあ葵、もちろん覚悟は……できてるよねえ?」
その後シントに壁ドンをされ、その模様をものすごい至近距離でトーマさんに激写されていた。
「……と、トーマさんは一体何を……?」
「ん? 『壁ドン撮ってね』って信人さんが」
いや、あなたそれで率先して撮るようなタイプじゃないでしょうよ。シントめ、なんかで買収しやがったな。カシャカシャ怖いぃ……。
「か、覚悟って何の」
「チクっただろ」
……え。え? 誰? シントだよね……? 怖っ!
くそう。電話じゃ何も言ってこなかったけど、やっぱり相当根に持ってるぜい。
「言い訳くらいは聞いてあげようか」
「ない!!」
ま、わたしも疚しいことなんて何にもないんだけども。
「……そうハッキリキッパリ言われると、俺も立つ瀬が……」
「あらそう~? だったらわたし~、ここであなたに土下座でもした方がいいのかしら?」
下からニヒッと見上げてあげると、虚を衝かれたシントは目を丸くしたあと苦笑い。肩を竦めながら「何から何までお見通しなんだから」と小さくぼやく。
「……言えました」
「はい。よかったね?」
「……精々頑張れって言われました」
「はい。精々頑張ってください?」
「ここぞとばかりにあいつら、俺にばっか仕事押しつけてきて大変なのに、誰も味方がいない……」
「えっ、そうなの……?」
「うん。でもひとつ、肩の荷が下りたから……」
「……シント」
――だから、直接お礼、言いに来た。
なんだか泣きそうな顔で、縋り付くように背中に回された腕には何も言えず。たださらさらな彼の頭を、わたしはそっと、撫でてあげることに――



