「あ。確か向日葵の種のデザートがあるとか書いてあったっけ」
「えっ。嘘! 向日葵の種食べるの!?」
「食べられるものもあるらしいよ。行ってみる?」
「行ってみる! 食べてみるー!」
指を絡めるように手を繋いで笑うと、彼は一瞬驚いたように目を見開く。
どうしたのかな? と思ったけれど、たぶん手を繋ぐだけで照れてガチガチだったのに、こんな風に自分から繋いできたから驚いたんだろう。わたしも驚いた。これも慣れだね。
「だったら今度からハムスターあおいって呼ぶね」
「……長いよ。普通に呼んでよ」
「んじゃあ気が向……思い出したら呼ぶわ」
「一回も呼ばれずに終わりそうだなあ……」
こんなグダグダもわたしたちらしい。そしていつまでも、こんな風にわたしたちらしく、いられたらいいなって思う。
「じゃ、いこっか」
「うんっ!」
こんな風に、いつまでも二人で。
楽しいことも、嬉しいことも。
悲しいことも、つらいことも。
全部二人で分け合っていこう。
こうやって、二人で一緒に歩いて行こう。
「それで? プロポーズはどんなのを思い描いてるの?」
「え!? してくれるの!?」
「気が向いたら」
「えっとねえっとね! 白無垢よりはドレス希望でー」
「……え。ちょっと待って。プロポーズの話してるんだよね? それ結婚式じゃないの」
「真っ赤な薔薇いっぱいの花束をね! こう片膝ついてー」
「それ夢で終わるよ」
「お給料三ヶ月分の結婚指輪と一緒に、『結婚してください』って! キャッ!」
「いきなり現実味帯びたねえ……」
「どうどう!? 参考になった!? ていうかしてねっ」
「あ。帰ったら誕生日パーティーがあるから花咲で。お腹空かせといてね」
「えっ。そんなまさかのサプライズここで言う!? ていうかヒナタくん、プロポーズの話は!?」
「今日の夕ご飯何かなー」
「ちょっと! 聞いておいてスルーしないでっ」
「気が向かなかった。以上」
「ただ酷いよそれ」



