全力の感謝も質問も、そんな感じで受け流されるんですけど。やっぱりまだ眠たいのか、そしてうるさかったのか。ヒナサンタはわたしを解放してすぐ枕に顔を沈め、頭から布団を被ってしまった。
いやいや、しかも丸まられるとわたし布団からスッポンポンで出ちゃうんですけど。今もうほぼ出ちゃってるんですけど……!
「……ぃしょっと。喜んでくれないの……?」
なんとか布団の中に体を滑り込ませて、ツンツンと頭を突く。反応がなくて耳元でもう一度聞いてみるけど、「んんんー」とくぐもった声しか返ってこない。
「えっと、ヒナタく」
「……って」
「え?」
って。……あれ? 少しだけ見えた彼の耳が、心なしか赤くなっているような。
「聞き方、おかしいでしょって」
「え?」
「それは、……オレに聞くことじゃなくて」
「……うん」
「オレが、……喜んでなかったら聞くことであって」
「うんっ」
だから? だから? と起き上がって軽く揺すると、こちらを向きながら照れくさそうに「だから今、喜びを噛み締めてたんじゃん」って。どうやら、喜んでもらえるかどうか緊張してたみたいだ。そんなの、喜ばないはずないのに。
「ねえねえ! 似合ってる?」
「あー……」
「に、似合ってない……?」
「……似合ってる似合ってる」
「どこ見て言ってるのエッチ!」
「……見せてくる方が悪いんじゃん」
けど、どうして指輪じゃなくてネックレスなんだろう。それを聞いてみるけど、「それは、そのときが来てからのお楽しみ」……だって。
おおお……!! そのときにプロポーズね! なるほど。了解! 今からドキドキしながら待ってるねっ。あ、でも今すぐでも大丈夫だよ! いつでもわたし、「ハイッ!」って大きな声でお返事できるからね!
……いや、でも待てよ? プロポーズとは限らないか。一緒に住まない? ……とか?! ハイハイハーイ! しますっ! しまーす!
わーすごい! なんだろう!! ワクワクする! なんだろうなんだろう! わー!!
「と、取りあえず落ち着こうか……」
「言ったでしょ。見せてくる方が悪いって」
そんな風にはしゃいでいたのは、あんなに長いこと心の中で叫んでたけど実はほんの一瞬足らず。あっという間に組み敷かれたかと思ったら、朝から濃厚な口付けが吐息さえも奪っていき、昨夜の余韻ですぐ体に力が入らなくなる。
「ん、ふっ……」
キスの合間、ほんの少しだけ瞳を開くとカーテンから差し込む朝日。そして昨夜よりもくっきりと浮かび上がる体付き。……わー。
「ん、……なに。どうしたの」
「本気で鼻血出そうなの」
「……? なに、照れてんの今頃」
「興奮してんのっ」
「え」



