すべての花へそして君へ②


 引っくるめて……か。それにしてもヒナタくん、相変わらず。


「いつも隣にオレがいることに慣れてってことです」

「はーい」

「オレがいないとって、思ってて欲しいってことです」

「それはもう思ってますよ?」

「……ずっと、そばにいさせてってことです」

「……ふふっ」


 相変わらず、不器用さんも健在なんですね。最近は、素直になることの方が多くて忘れてましたけど。
 そうしていると「……返事は?」なんて拗ねた声が飛んでくるもんだから――――


「もちろんですよー!!」

「うわっ!」


 喜びのあまり突撃。デジャビュだ。まあ一つ違うことと言えば、押し倒された彼の顔が真っ赤になってるってことでしょうかね。


「素敵な誕生日プレゼントだけじゃなくてまさかプロポーズされるなんて! キャッ!」

「喜んでるところ申し訳ないけど、今のプロポーズでも何でもないからね」

「え。だったら何なの。このわたしのはしゃぎっぷりをプロポーズ以外に何と言うの」

「遠回しに『これからもよろしく』って言っただけだからね」

「嘘だ! そこまで不器用さんにならなくていいんだよ!?」

「勝手に勘違いする方が悪い」


「ま。それは追い追いね」……って。ちょっと、大事なことさらっと流さないで!


「よく考えてもみてよ。オレまだ16」

「わたし18! ……で」

「顔怖い顔怖い……」

「きっ、期待して、待っててもいいってこと、ですか……?」


 押し倒した相手に、聞くようなことじゃないけど。そもそも、こんな状況で話す内容じゃないけど。返ってこない返事に、ビクビクしながらゆっくりと閉じていた目蓋を上げるけれど。


「……さあ? それは、これからになってみないとわかんないんじゃない」


 彼はそっぽ向いて、冷め切った声でそう呟くだけ。


「ま、兎にも角にもあおい次第、ってとこかな?」


 けれど、そう切り返したときにはもう、いつもの意地悪な表情と声色。それは、わたしの気のせいだったかもしれないと思うほどの、たった一瞬の出来事で……。


「……え」


 って、ちょっと待てい。