引っくるめて……か。それにしてもヒナタくん、相変わらず。
「いつも隣にオレがいることに慣れてってことです」
「はーい」
「オレがいないとって、思ってて欲しいってことです」
「それはもう思ってますよ?」
「……ずっと、そばにいさせてってことです」
「……ふふっ」
相変わらず、不器用さんも健在なんですね。最近は、素直になることの方が多くて忘れてましたけど。
そうしていると「……返事は?」なんて拗ねた声が飛んでくるもんだから――――
「もちろんですよー!!」
「うわっ!」
喜びのあまり突撃。デジャビュだ。まあ一つ違うことと言えば、押し倒された彼の顔が真っ赤になってるってことでしょうかね。
「素敵な誕生日プレゼントだけじゃなくてまさかプロポーズされるなんて! キャッ!」
「喜んでるところ申し訳ないけど、今のプロポーズでも何でもないからね」
「え。だったら何なの。このわたしのはしゃぎっぷりをプロポーズ以外に何と言うの」
「遠回しに『これからもよろしく』って言っただけだからね」
「嘘だ! そこまで不器用さんにならなくていいんだよ!?」
「勝手に勘違いする方が悪い」
「ま。それは追い追いね」……って。ちょっと、大事なことさらっと流さないで!
「よく考えてもみてよ。オレまだ16」
「わたし18! ……で」
「顔怖い顔怖い……」
「きっ、期待して、待っててもいいってこと、ですか……?」
押し倒した相手に、聞くようなことじゃないけど。そもそも、こんな状況で話す内容じゃないけど。返ってこない返事に、ビクビクしながらゆっくりと閉じていた目蓋を上げるけれど。
「……さあ? それは、これからになってみないとわかんないんじゃない」
彼はそっぽ向いて、冷め切った声でそう呟くだけ。
「ま、兎にも角にもあおい次第、ってとこかな?」
けれど、そう切り返したときにはもう、いつもの意地悪な表情と声色。それは、わたしの気のせいだったかもしれないと思うほどの、たった一瞬の出来事で……。
「……え」
って、ちょっと待てい。



