❀ ❀ ❀
【わたしに、何か隠してるんでしょう?】
そう話を切り出すのを、何度も何度も躊躇った。このときだけじゃない。彼が悲しそうな顔をするたび、『寂しい』と、言う度、『どうしたの』……って。いつもいつも、言おうと思って言えなかった。
『そっか~残念。折角、絶対に成功するって噂の場所まで行って、もう一回告白しようと思ってたのにー』
言えたのは、シズルさんからそんなことを聞いたから。本当は、デートのお誘いを断るついでに、海で言っていた恋人のスポットのこととか、いろいろ聞いてみようと思ったのだけど……。
それでも、そんなジンクスに縋らなければいけないほどわたしには、聞く勇気が持てなかった。彼が……ヒナタくんが、あまりにもつらそうな顔をたまに見せるから。それだけ深刻なんだってことが、安易に聞けるようなものでも答えられるものでもないと、わかっていたから。
けれど聞かなければいけなかった。きっと、わたしの知らないところでもそんな顔をしているのだろうから。
『……隠してる、って。一体何を』
『それをわたしが聞いてる』
『別に、オレは隠し事なんて』
『じゃあなんでそんな顔するの』
『……そんなって。どんな』
『いつもどこか寂しそう。悲しそう。……苦しそう。つらそうだよ』
『そんな、わけ』
『あるから聞いてる』
どうして寂しいの? どうやったらヒナタくんを、そのつらさから解放してあげられるの……?
『……わたしじゃ、頼りない……?』
一分でも一秒でも早く。全部じゃなくていい。ほんの、少しずつでもいいから。わたしは、大好きな君の助けになりたいのに。
この時ばかりは、たとえジンクスに縋ってでも言わないとと、聞かないとと思っていた。わたしが怖じ気付いてたらダメだって。彼をそんな苦しみから助けてあげなきゃって。今度はわたしが、助けてあげるんだって。
そう思っていたんだ。強い強い腕の中に収まる、ほんの一瞬前までは。
『ひなっ』
その抱擁はただ痛くて。呼吸が止まりそうなほど苦しくて。
『――っ。……ご、めんっ』
この腕の中に収まる一瞬。ほんのわずかだけ見えた彼の、悲痛で歪んだ顔に、……聞いてしまったという後悔だけが胸を支配した。
その『ごめん』に、わたしは結局、返す言葉が見つからなかった。
【わたしに、何か隠してるんでしょう?】
そう話を切り出すのを、何度も何度も躊躇った。このときだけじゃない。彼が悲しそうな顔をするたび、『寂しい』と、言う度、『どうしたの』……って。いつもいつも、言おうと思って言えなかった。
『そっか~残念。折角、絶対に成功するって噂の場所まで行って、もう一回告白しようと思ってたのにー』
言えたのは、シズルさんからそんなことを聞いたから。本当は、デートのお誘いを断るついでに、海で言っていた恋人のスポットのこととか、いろいろ聞いてみようと思ったのだけど……。
それでも、そんなジンクスに縋らなければいけないほどわたしには、聞く勇気が持てなかった。彼が……ヒナタくんが、あまりにもつらそうな顔をたまに見せるから。それだけ深刻なんだってことが、安易に聞けるようなものでも答えられるものでもないと、わかっていたから。
けれど聞かなければいけなかった。きっと、わたしの知らないところでもそんな顔をしているのだろうから。
『……隠してる、って。一体何を』
『それをわたしが聞いてる』
『別に、オレは隠し事なんて』
『じゃあなんでそんな顔するの』
『……そんなって。どんな』
『いつもどこか寂しそう。悲しそう。……苦しそう。つらそうだよ』
『そんな、わけ』
『あるから聞いてる』
どうして寂しいの? どうやったらヒナタくんを、そのつらさから解放してあげられるの……?
『……わたしじゃ、頼りない……?』
一分でも一秒でも早く。全部じゃなくていい。ほんの、少しずつでもいいから。わたしは、大好きな君の助けになりたいのに。
この時ばかりは、たとえジンクスに縋ってでも言わないとと、聞かないとと思っていた。わたしが怖じ気付いてたらダメだって。彼をそんな苦しみから助けてあげなきゃって。今度はわたしが、助けてあげるんだって。
そう思っていたんだ。強い強い腕の中に収まる、ほんの一瞬前までは。
『ひなっ』
その抱擁はただ痛くて。呼吸が止まりそうなほど苦しくて。
『――っ。……ご、めんっ』
この腕の中に収まる一瞬。ほんのわずかだけ見えた彼の、悲痛で歪んだ顔に、……聞いてしまったという後悔だけが胸を支配した。
その『ごめん』に、わたしは結局、返す言葉が見つからなかった。



