すべての花へそして君へ②


 台所へとやってきたオレたちは、早速ご飯の調理に取りかかった。


「トマトは生よりも火を通した方が栄養価が格段に上がるので、オムライスにも今日は少し入れちゃいたいと思いまーす」

「へー。そーなんだー」

「い、入れちゃいたいと、思いまーす……?」

「ん? どうぞー。入れちゃってくださーい」

「いや、入れらんないから。二の腕から手を離しなさい」

「あのさ、ふと思ったんだけどさ」

「ぷにぷにしながら真面目なトーンで言わないで」

「いや、これ真面目な話だから」


 ……ぷにぷに。そんなことをしながらも「じゃあ真剣に聞いちゃろうじゃないか」と、火を止めてこちらを見上げてくる彼女へ真剣な顔で答える。


「二の腕も気持ちいいけどさ、絶対胸の方が気持ちいいって」

「全然真面目じゃないっ?!」


 いや、よく言うじゃん? 二の腕と胸の柔らかさは一緒……みたいなこと。でも、これだったらあおいの胸はもっと硬いはず。


「だから、真面目なトーンで何話してるんですか、あなた」

「いや、世間のみんなは、というか男たちは、真実を知らないんだろうと思って」


 ていうかこれのどこがプルプルなの。ねえ、ふざけてるの?


「明かふざけてるのあなたでしょうよ」

「大丈夫。オレがあおいの胸の柔らかさは保証してあげるから」

「そんな保証いらんわい」


 それから手分けをして無事に晩ご飯の完成。あとは今あおいが作っているふわふわの卵を割ってケチャップを……。


「何をお描きしましょうご主人様っ」

「それじゃあシントさん風で」

「だからそれは嫌だって言ってるでしょうが」


 自分はやらせたくせにね。ああ違うか、シントさんが勝手にやったんだっけ。あの人の頭の中も相当こいつに侵食されてるよね。


「……じゃあ、お任せで」

「ラジャー! ……あ。ヒナタくんもわたしの描いて~」

「え。拒否権は」

「無し」


 完全に主従関係が逆転している中、彼女は嬉しそうにオレのオムライスに何かを描いていた。……いつまで“それ”を引き摺るのか。
 受け取った“真っ赤な太陽”とケチャップに苦笑いしながら、オレもさささーっと彼女のオムライスに“それに似たもの”を描いて渡した。