台所へとやってきたオレたちは、早速ご飯の調理に取りかかった。
「トマトは生よりも火を通した方が栄養価が格段に上がるので、オムライスにも今日は少し入れちゃいたいと思いまーす」
「へー。そーなんだー」
「い、入れちゃいたいと、思いまーす……?」
「ん? どうぞー。入れちゃってくださーい」
「いや、入れらんないから。二の腕から手を離しなさい」
「あのさ、ふと思ったんだけどさ」
「ぷにぷにしながら真面目なトーンで言わないで」
「いや、これ真面目な話だから」
……ぷにぷに。そんなことをしながらも「じゃあ真剣に聞いちゃろうじゃないか」と、火を止めてこちらを見上げてくる彼女へ真剣な顔で答える。
「二の腕も気持ちいいけどさ、絶対胸の方が気持ちいいって」
「全然真面目じゃないっ?!」
いや、よく言うじゃん? 二の腕と胸の柔らかさは一緒……みたいなこと。でも、これだったらあおいの胸はもっと硬いはず。
「だから、真面目なトーンで何話してるんですか、あなた」
「いや、世間のみんなは、というか男たちは、真実を知らないんだろうと思って」
ていうかこれのどこがプルプルなの。ねえ、ふざけてるの?
「明かふざけてるのあなたでしょうよ」
「大丈夫。オレがあおいの胸の柔らかさは保証してあげるから」
「そんな保証いらんわい」
それから手分けをして無事に晩ご飯の完成。あとは今あおいが作っているふわふわの卵を割ってケチャップを……。
「何をお描きしましょうご主人様っ」
「それじゃあシントさん風で」
「だからそれは嫌だって言ってるでしょうが」
自分はやらせたくせにね。ああ違うか、シントさんが勝手にやったんだっけ。あの人の頭の中も相当こいつに侵食されてるよね。
「……じゃあ、お任せで」
「ラジャー! ……あ。ヒナタくんもわたしの描いて~」
「え。拒否権は」
「無し」
完全に主従関係が逆転している中、彼女は嬉しそうにオレのオムライスに何かを描いていた。……いつまで“それ”を引き摺るのか。
受け取った“真っ赤な太陽”とケチャップに苦笑いしながら、オレもさささーっと彼女のオムライスに“それに似たもの”を描いて渡した。



