寝不足が祟ったのか。それともこのぬくもりと穏やかな時間のせいなのか。目蓋をそっと下ろしていると、いつの間にか眠りの淵に落ちていた。
再び目蓋を上げたときにはもう、彼女の手元からアルバムや写真はなくなっており、案の定「起きた?」なんてやさしい声がかかる。
「……寝てた?」
「声かけても返事がなかったから、どうしたのかなって」
「そしたらちっちゃく寝息が聞こえたから……」と、そのままの状態で寝かせてくれていたらしい。
「もういいの?」
「ヒナタくんはいいの?」
オレは……もう十分見ましたから。あなたの知らないところでカナタさんに捕まっていたので。ま、楽しくなかったと言えば嘘になるけど。
でも、今はそれはいいんだ。時間はかかったけど、やっと見せてあげられた。あんなにも嬉しそうな笑顔が見られた。……ほんと、よかった。
「ちょ、ちょっとヒナタくん」
「ん?」
「い、いや。ん? じゃなくてだね……」
「……どうしたの」
「いや、……えーっとだね」
「なに。はっきり言いなよ」
「じゃあ言おう。どこに手を入れようとしているんだ君は」
「ブラウスの中」
「やめなさい」
だって、もう我慢の限界なんだもん。正直な話、我慢した方だと思う。自分でも、【よく我慢しましたで賞】なんて賞状を贈りたいくらいだ。
最後に、こいつの唇に触れられたのはいつだったろう。最後に、こんな風に抱き締めたのはいつだろう。最後に、こんな風にこいつの柔肌に触れたのは――――……
「ちょちょちょちょ!? ちょい待てーい!!」
最後に、こんな風に押し倒したのはいつだったかなー? たぶん皇別邸以来かなー。
「な、なんでニヤニヤされておられるのでしょうか……?」
あっさりとオレに押し倒されたこいつはきっと、今頃ベッドをチョイスしたことを後悔しているだろう。後悔先に立たず。残念でしたー。
「落ち着こう。ヒナタくん、ちょっと冷静に」
「オレ? すっごい冷静だけど」
「これこれ。この手のどこが冷静なんだね」
「ん? ……冷静でしょ? 上手に外せてる」
「淡々としないで。淡々に」
そんな会話をしている間も手は休めず。拒もうとする手を腕をかいくぐり、上から下までそう時間もかからず無事に制覇。……キャミソールか。ちょっとこれは今邪魔かなー。
「だ、だめ」
けれど、さすがにそれをめくる手は止められてしまった。
と、いうことはだ。どうやらオレのしたいことがちゃんとわかってはいるらしい。下からすごい睨むように見られてるけど。
それでも可愛い彼女に小さく笑い、髪をかき上げながら耳元へ口を寄せる。
「……見せて、全部」



