「ではでは~早速見ていきますよー!」
壁を背に座ったオレの足の間にスッポリ。あおいは、オレに背を預けそこですっかりリラックスモードでアルバムを開いていた。……何の拷問ですか、これは。
「わあ! 可愛い!」
「……言うと、思った」
「だって可愛いんだもんっ」
「そ、そう……」
しかも、写真を見てキャッキャと彼女がはしゃぐたび、ほのかに石けんの香りと花の甘いにおいが。……やっぱり拷問ですよね、これは。
「あ。ヒナタくん鼻水垂らしてる」
「ちょ、何見てんのっ」
「あ。こっちは泣いてる」
「……何でそんなのばっか……」
もうちょっとまともなものはないものか……そう思ったけど、生まれたばっかりにまともなものを求めたオレの方がバカだった。
「ねえねえ。なんでこれすっごい笑ってるの?」
「は? いや、さすがにそんなのは覚えてないんだけど……」
見せられたのは、ベビーベッドで寝転がって、すごく楽しそうに手を伸ばしている二人の赤ん坊。……何が楽しくてこんなに笑ってんだろ、オレとハルナ。けれど、特に理由はいらなかったらしい。
そっと覗き込んでみれば、今はもう手元の写真に釘付け。きらきらした瞳で、幸せそうにページをめくっている。
あったかいな……。
腕を回し、後ろから包み込むように抱き締める。邪魔はしたくない。けれど構っても欲しい。そんな天秤はかけたところで前者にすぐ傾き、ブラウスの下へ行きかけた手はすっと下ろされた。
その代わりと言ってはなんだけど、彼女の首元へそっと顔を擦り寄せ、甘い香りを深く深く吸い込んでから、彼女の手の中をちらりと覗く。
2月28日。3月1日。どうやら、1歳の誕生日写真まで見つけていたらしい。
恥ずかしいことこの上ないけれど、こんなにも嬉々とした表情を見てしまっては、止める気も失せるというものだ。
「ねえ、この時は何をプレゼントにもらったの?」
と、言われてもさすがに覚えてはいない。1歳の誕生日……さあ。なんだろう。涎掛け、とか? 服とかかな。
「わたしはね~英単語帳をもらったんだよー」
おかしい。1歳で、ということももちろんだけどプレゼントとしてそれをチョイスする親も親だ。顔も性格も十分知ってるけど。
……だからまあ、きっと当時欲しがっていたものを彼らはちゃんとこいつにあげたんだろう。
(誕生日、か……)



