ガチャリと開けた扉の向こう側で、彼女は押し入れに頭を突っ込んでいた。……おーい。見えるよ。
「大丈夫! 下にちゃんと履いてる!」
「……そ」
なんでちょっとガッカリしてんだろ。いいじゃんね。他の変な奴らに見られる心配ないし。……ねえ?
「……あった?」
「うんっ!」
って、あれ? アルバム、もう一冊出てるじゃん。それに、そっちの方にはカナタさんからもらったアルバムは……。
「ぷはっ! もうっ。ヒナタくん、何で自分のは整理してないの」
何、勝手にオレの写真漁ってんのあなた。
「……それでも、ちょっとは整理」
「してないでしょ」
「い、いや、これからしようと」
「してなかったでしょ」
「この調子なら、ヒナタくんの写真の整理が終わるまで通い詰めるからね」とか。一瞬喜んだけど、こいつの場合、本当に整理だけしてオレの相手とかしてくれなさそう。ほんと、終わるまで。
「……わかった。ちゃんと整理しとく」
「うんうんっ。それじゃあ今日も」
「今日は、……無しじゃ、ダメ?」
「今日も残念ながら整理の日になりそうです」
「いや、ほんと。ちゃんとしとくからさ」
「……ヒナタくん?」
気になって気になってしょうがないなら。それなら、本当に少しだけなら整理してもいいから。
……でも、今日しに来たのは違うでしょ? ずっとずっと、したかったことがあるでしょ?
「今日くらいは、今自分が一番したいことしてよ」
「……うん」
何だ、今の間は。どれだけ、オレの写真の整理の比重重いの。
「……この辺、ね……?」
「……ん?」
「……ちょっと、傷んでるから。直してあげても、いい……?」
「……うん。ありがと」
オレの写真は、みんなから回収したあと箱の中に押し込んでいただけだったから。状態はそんなに良くない。そんな傷みまくった思い出たちを、彼女は大事そうに触れて、一枚一枚やさしく撫でてくれていた。……それだけでもう、十分だよ。ありがと。
「……それで? いつのから見るの?」
「もちろん! オギャーからだよ!」
「そしてついでに、ヒナタくんのオギャーらしきものも何枚か見つけたから、それも一緒に見よう!」……とか。うげ。マジか。
「それじゃあヒナタくん。あなたはここに座ってください」
ぽんぽん、と。完全に主導権を握った彼女は、オレのベッドの壁際の方を叩く。いや、まあ座りますけど。ここに座って、その後オレは一体どうしたら――
「よいしょ、っと」
……え。



