すべての花へそして君へ②


 ガチャリと開けた扉の向こう側で、彼女は押し入れに頭を突っ込んでいた。……おーい。見えるよ。


「大丈夫! 下にちゃんと履いてる!」

「……そ」


 なんでちょっとガッカリしてんだろ。いいじゃんね。他の変な奴らに見られる心配ないし。……ねえ?


「……あった?」

「うんっ!」


 って、あれ? アルバム、もう一冊出てるじゃん。それに、そっちの方にはカナタさんからもらったアルバムは……。


「ぷはっ! もうっ。ヒナタくん、何で自分のは整理してないの」


 何、勝手にオレの写真漁ってんのあなた。


「……それでも、ちょっとは整理」

「してないでしょ」

「い、いや、これからしようと」

「してなかったでしょ」


「この調子なら、ヒナタくんの写真の整理が終わるまで通い詰めるからね」とか。一瞬喜んだけど、こいつの場合、本当に整理だけしてオレの相手とかしてくれなさそう。ほんと、終わるまで。


「……わかった。ちゃんと整理しとく」

「うんうんっ。それじゃあ今日も」

「今日は、……無しじゃ、ダメ?」

「今日も残念ながら整理の日になりそうです」

「いや、ほんと。ちゃんとしとくからさ」

「……ヒナタくん?」


 気になって気になってしょうがないなら。それなら、本当に少しだけなら整理してもいいから。
 ……でも、今日しに来たのは違うでしょ? ずっとずっと、したかったことがあるでしょ?


「今日くらいは、今自分が一番したいことしてよ」

「……うん」


 何だ、今の間は。どれだけ、オレの写真の整理の比重重いの。


「……この辺、ね……?」

「……ん?」

「……ちょっと、傷んでるから。直してあげても、いい……?」

「……うん。ありがと」


 オレの写真は、みんなから回収したあと箱の中に押し込んでいただけだったから。状態はそんなに良くない。そんな傷みまくった思い出たちを、彼女は大事そうに触れて、一枚一枚やさしく撫でてくれていた。……それだけでもう、十分だよ。ありがと。


「……それで? いつのから見るの?」

「もちろん! オギャーからだよ!」


「そしてついでに、ヒナタくんのオギャーらしきものも何枚か見つけたから、それも一緒に見よう!」……とか。うげ。マジか。


「それじゃあヒナタくん。あなたはここに座ってください」


 ぽんぽん、と。完全に主導権を握った彼女は、オレのベッドの壁際の方を叩く。いや、まあ座りますけど。ここに座って、その後オレは一体どうしたら――


「よいしょ、っと」


 ……え。