そんなことを聞いていたら、さっきまとめて点呼を取った三人に「尺の無駄遣い」って。怖いというよりも、とっても悲しそうな目で見られたので、この辺でやめておくことに。
 またそのことについてはキサちゃんに改めて問い質したいと思います!


「それじゃあ14番! ユズちゃんのお父さん? 娘さんは元彼さんにぞっこんのようですが、心境のほどは?」

「え……。そ、そう言うこと聞くの……?」

「ユズが幸せならー」

「うわお! お父さん! あたし今とっても幸せ!」

「そうですかそうですかー」


 よし。カエデさんもばっちり元気。きっと今回の旅行は彼が保護者代表になるだろう。去年と同じでラブラブすんだろうから、役に立たないからね、あの最低教師。


「よいしょ、っと。……とか言いながら、若干カナデくんに向けられる視線がキツいと思うのはわたしだけでしょうか、どうぞ」

「いいや。オレもそう思います、どうぞ」

「そう思ってるならなんでそんな質問したのっ!? どうぞお!?」

「あ。カナデくん泣かせちゃったよ」

「別にいいよ。どうせ泣いたってユズが拭いてくれるって」

「やっぱり酷い。前にも増して俺への当たりが酷くなってる……」


 カナデくんの扱いは今も昔もこんなもん、っと。
 おお! しかもそんな話をしていたら、あっという間に旅館に着いてしまったではないか! まだ点呼取り終わってないのにっ!


「15番アイくん! 16番カオルくん! 17番レンくん! ようこそいらっしゃいました~! ここが毎年みんなでお世話になってるって噂の、とっても立派すぎる旅館でござる~」

「はいっ! 俺は今回あおいさんの水着が楽しみです!」

「はあ? ふざけんな」

「はあ~い! それにはぼくもちょっと興味ありますう~」

「……おい。コズエ先生はどうした、先生わよお」

「二人とも。初めてこういうところに来たからってはしゃがないでくださいよ。受験生なんですから節度を守っ――」

「海に沈め」

「……おい九条。オレ別に何も言ってないだろ。普通に楽しみに来たんだ。初めてなんだから」

「なんかムカついた」

「オレが一番酷い扱いだ……」


 うむ! みんな元気でよろしいっ。


「ようこそ。お待ちしてましたよ。皆さん」


 そんなこんなで(?)やっと着きました! きっと去年よりももっともっと素敵な思い出になるだろう。……そんな予感がするっ。