すべての花へそして君へ②


「……何も、されてない?」

「えっ?」

「ははっ。そんな酷いことするように見えるんだねー俺」

「ええ!? な、何もされてないよ! してないよ!?」


 いや。こいつ以上に強い人、オレ知らないけどね。同等ならミズカさんがいるけど……あおい相手に本気とか出せないだろうし。

 ……それでも。“もしも”のことがないとは、限らない。


「怪我がないなら。無事ならそれでいいよ」

「……ひなたくん」


 ぎゅうと鳴りそうなほど腕の中に閉じ込めると、「心配性の優しい彼氏さんだね」とか言ってくるもんだから、もう一回文句の一つ言ってやろうかと思ったけど。


「ふふっ。はい! 自慢の彼氏さんですっ」


 ……なんて。嬉しげに抱き締め返してくるもんだから。


「……そう思うならちゃんと連絡くらいして」

「はーい。ごめんなさい」


 しょうがないから、今回のことは大目に見てあげる。


 ――――――…………
 ――――……


「早く! ヒナタくんはやくっ」

「ちょ。……どこ行くの一体」

「ついてくればわかるからっ」


 なるべく究極の方向音痴さんにはついて行きたくないんですけど。取り敢えずは、来た道をオレが覚えておくから帰れないことはないけどさ。
 あれから、大学生っぽいシズルって人とはそこで別れ、何でか知らないけどオレは、あおいに連れ回されている。


「ここでね? レンくんとジェラート分けっこしたの!」

「……ふーん」


 ……うん。絞める。


「それで、ここで猫さん泣いてた!」

「……ふーん」


 ……チカだな。