「……じゃあさ、一緒に見つけよ?」

「えー……」

「ええ!? そこで何で嫌がるの!?」

「だって、お前が言ったらそれになりそうな気がして怖えもん」

「え。み、見つけたいのではなかったのか……?」

「見つけるのも一つの楽しみだろ?」


 ……楽しみ。わたしには不安で不安で仕方なかったことを、彼はさらっとその一言で言い切ってしまった。
 ふふっ。かっこいいね。そういうところは、ヒナタくんは持ってないところだろうな。


「小さな頃に描いた夢を叶えられる人間なんて、この世界に一握りいるかどうかなんだ」

「……その思い描いた夢は?」

「ん? ……ははっ。さーて、なんだったかな」


 笑ってる辺り覚えてるんだろうけど。もしかしたら恥ずかしいのかもしれない。それには何も聞かないでおこう。


「だからな? 描くだけは自由なんだよ。葵も、たくさんたくさん描いたらいい」

「うんっ。参考にさせてもらうね!」


 そしていつか。君の思い描いた夢の、お手伝いができたらいいな。
 帰り際にポップコーンをお願いしたら「太るぞ」って。言い終わる前に鳩尾に一発。軽くだったけど、どうやら綺麗に決まってしまったみたいで、しばらく動けないほど悶絶しておられました。


「おま、力加減……」

「え? したでしょ? 『んなわけないやろ! なんでやねん!』ぐらいのノリだったよ?」

「んなわけあるか。こんなにしといて……」


 おう……。それはすまなかった。
 どうも、制限ないので力加減がね。ヒナタくんの言うとおり、その内わたし物を壊しながら歩いてしまいそうで怖いよ。まあないだろうけど。


「そうだ! わかったよツバサくん。ムッキムキのボディビルダーに」

「そりゃお前だろ」

「え。やっぱりつけた方がいい? 筋肉……」

「いやそういう意味じゃねえ」


 わたしならなれるだろうと。でも絶対にすんなよと。
 ……いや、ならないよしないよ。そんなことしたらわたし、本当にそこら辺壊しまくる怪獣になっちゃうよ。


「でもツバサくん、意外と筋肉あるね」

「い、いや、だからって触ってくん――」

「おーおー。道のど真ん中で堂々と浮気か? お前ら」

「日向が見たら泣いちゃうぞ~」

「「いや、浮気ではない」」


「どっちかと言ったら看病だよ」と言ったら二人して目が点に。……って、そちらこそ道のど真ん中で堂々と腕なんか組んじゃってまあ。ラブラブですな。


「あっちゃんが危ない目に遭わないか見張るお役目は、これにて終了でいいかな? キクちゃん」

「「え」」

「おー。いいんじゃねえか? 一番危険人物もこの通り自分で退治できんだから」

「誰が一番危険だコラ」

「だ、だからこれは、別に退治しようと思って鳩尾殴ったわけではないんだって」


 いつの間にやらそんなことをしていた二人は、そう言ってもなかなか信用してくれなかったけど。これに関しては、わたしが悪いと言うよりも……。


「……? んだよ」

「ふふっ。ううん! 楽しかったなって思っただけ」

「……そりゃよかった」

「うんっ」


 どちらかと言えば、イケメンのお兄ちゃんに些か問題があるかもね。ってことにしとこ。