「う~ん。なんか出欠だけだとイマイチパンチがないというか……」
「……じゃあ、景色の感想とか言ってみれば」
「おお! んと、じゃあ……町並み綺麗!」
「海目の前」
「潮の匂いがする~」
「あっつい」
「アイス食べたい!」
「チカパシって買いに行かせたい」
「食べたい食べたいよ~」
「そうだね」
「…………」
「…………」
「はいっ! 12番! 史上最強の魔王は①巻で終わっちゃったよ! さ~ん」
「その尺の無駄遣いに腹立つわ」
「あ。す、すみません、トーマさん……」
「葵ちゃんもさ、ダメだよ? 日向の悪乗りに乗ったら」
「え?」
「え。どちらかと言ったらオレが乗ったんだけ――」
「もっと葵ちゃんが可憐で! 可愛くて! 強くて! 凜々しくて! 綺麗で! 美人で! 誰よりもかっこいいところを話そうよ!」
「……はい。トーマさん出席っと。相変わらず変な人です、っと」
「じゃあ13番行こう」
「君たち? いつまでもイチャつけると思うなよ?」
久し振りの悪魔に当てられて、本気で二人してビビった。トーマさん、絶好調ですっと。
「え、ええーっと。つ、次は……一番先頭じゃん。13ばーん! 結婚式の日程はいつですかー? さんっ!」
「え。もうそんな話まで行ってるの? 早いね。最低な教師だね」
「らいね~ん」
「「「ええ!?」」」
そう聞こえた人たちは、尋常じゃないくらいキク先生に対して思いっきり引いた。引きまくった。キク先生は、安定の最低教師、っと。
「……き、聞きましたかい? ヒナタくんや」
「聞いた。やっぱりあいつ、ただもんじゃないわ」
「え。違うよね。ちょっとおかしいよね、それ」
「いいや。やっぱり絶対あいつ、なんだかんだでずっと前からキサと結婚する気満々だったから、貯金とかお金とか年金とか、そんなこと昔から考えてたんだって」
「お金のことばっかりだね」
「ていうことはだよ? 結婚式が挙げられるほどのお金とか一緒に住む金とか、あいつは一人で十分稼いで、尚且つ貯金をしているって、そういうことだよ?」
「随分深い読みをしますね、あなた」
「でも、そういうことでしょ? そう思ったら……引くでしょ」
「うん。引くね」
「二人ともっ! そんな話出てきたこともないからっ!! 菊ちゃんの冗談だから……! 引かないであげてっ」
13番さんの点呼中に、彼女乱入。これはいい機会だ。ちょっくら聞いてみようじゃねえか。
「でもさ、キサちゃん。結婚は考えていらっしゃるんですよね?」
「え……!?」
「そこんとこどーなんですかー」
「ひ、日向まで。……そ、そういうことは、きちんと二人で話し合って……ですね」
「話し合ったんですか!?」
「どうなんですか?」
「だ、だから! まだ全然だって言ってるでしょ……!?」
「嘘っぽいね」
「これは嘘だね」
「菊ちゃん。助けて……っ」



