「8番! お兄ちゃーんっ」

「え?」

「は?」

「あれ? 不味かった?」

「い、いや、てっきり『脱オカマ』とか言うんだと思ってた」

「俺も一瞬焦った。それで身構えてたから」

「え? でも、あんまり大声でそういうこと言うのよくないと思って」

「甘党はいいの?」

「純情はいいのか?」

「え? だって害ないでしょ?」

「「オカマはあるの(かよ)!?」」


 そんな息ぴったりの兄弟の突っ込みに、わたしだけじゃなくて周りのみんなもちょっと楽しげに笑う。
 よしよし。お兄ちゃんも異常なしっ。ちょっとイケメンに拍車がかかったくらい、っと。


「ほんじゃあ改めまして。8番! 脱オカマ改め、今はただのイケメンのお兄ちゃーん!」

「それもそれで返事しにくいわっ!」

「頑張ってツバサ。こいつはやると決めたらとことんやり通す」

「知ってるわ! ……あーはいはい。つばさ、いますよー。今年はビキニ持って来てません」

「「ええ!? 去年持って来てたの!?」」

「お前ら突っ込みまで息ピッタリだな」

「「ありがとー」」

「つうか冗談だから。持ってもねえわ、んなもん。次行け次。ただのページ数の無駄だろうが」

「……ヒナタくん。おにいが酷いぞ」

「姑とかよりも酷い奴になるかも知れないから、気を付けてね」

「何の話してんだよ」


 あおいのメモに、姑ツバサくんのご機嫌取り方法一覧が作成されました▼


「よ、よし! 続きまして~。9番! オタク要素出てないよ~さん! 10番! ウサギの皮を被ってますさん! 11番! ツンデレ返してさ~ん?」

「「「まとめられた!?」」」

「ツバサくんで尺使っちゃったからー。ごめんごめん。だってもうすぐ旅館着いちゃうんだもんっ」

「扱いが酷いと思いま~す。あかねでした」

「同じくそう思いま~す。おうりです……」

「オレもそう思いま~す。ちかぜより……」


 三人とも元気、っと。あ、一人声が出るようになったので去年よりもーっと元気、っと。


「うん。扱いは酷いけど、ネーミングはまあまあ良かったと思うから10点」

「わーい! 満点だあー!」

「え。何言ってるの。1000点満点だよ」

「うえ!? 100点でもないっ!?」

「……なあ。そういう無駄なやつ入れるくらいなら、オレらにもっと喋らせろって思うのはオレだけか?」

「ううん。おれもそう思うよちかチャン」

「おれも思う。いつかもっとしゃべらせてもらえるって信じてる……っ」


 や、やっぱりちょっとだけ元気ない、っと。この辺はね、あれだよ。こんな扱いした人にちゃんと伝えとくからね、絶対。