「オレはしっぽ派」
「え?」
「お前が聞いたんだろ?」
「いやそうなんだけど、唐突だったし……」
てっきり、アキラくんと同じ頭かと。
「知らねえのか? しっぽから食ったら足が速くなるんだよ。頭から食ったら、頭が良くなんだよ」
「それってししゃもの話じゃない?」
「気分の問題だろ」
ニカッと笑ったチカくんは、ペロリともう食べてしまっていた。……そういえば、わたしがチカくんに渡したのは……。
「チカくん足速いのにまだ足速くなりたいの?」
「強い奴と戦うことになったら、逃げることも考えねえとな」
「……頭渡した方がよかったかも」
「どういう意味だよ」
「そんなところに気を回さなくてもいいよって言ったんだよ?」
「べ、……別に、回したわけじゃねえ」
「ははっ。それじゃあそういうことにしておいてあげるね」
そうこうしていると、お金がもらえたアキラくんが帰ってきた。
……えらい。たい焼き一匹分だ。カエデさんさすが。
「葵! 何味ならいい?」
「どれでもいいよ?」
「わかった!」
あの子、本当にアキラくんかな。小っちゃい子どもに見えるんだけど。あの見た目だから若干お店の人も違和感感じてるし。
「おかしいな。オレが尊敬してたのはあんなアキじゃなかった気がする」
「今頃気が付いたのかい……」
あんまり表情は変わらないけど、それでも嬉しそうに目を輝かせながら、無事に買えたらしいアキラくんが帰ってきた。
そんな嬉しそうに頭に齧り付くアキラくんに笑いながら、チカくんにもあのことを聞いてみることに。
「チカくん。よければでいいんだけどね?」
これからについて少し、参考程度にまで。
「将来?」
「うんっ」
「取り敢えずタンスから逃げる」
「え」
「だからしっぽから食った」
「えっ」
それってあれですか……? わたしに誓った、あのネクタイの件のことですかい。
「ヒナタの野郎が、卒業記念にタンス送りつけるとか言ってくるんだよ」
「え」
「そもそも小指ぶつけたら痛えだろ? なんとしてでも逃げねえと……」
……そっか。ヒナタくんにもその話をしたんだね。
まあ、彼の場合は天の邪鬼だから。ほんと、チカくん大好きなんだなー。ちょっと妬けるぞ。
「……将来は、ばばあの跡を継ぎたい」
「ははっ。そっかそっかー」
フジカさんのこと、本当に大切にしたいんだって。前もそんなこと言ってたね。
(……あれ。でも……)
なんでチカくん、ちょっと苦しそうなの……。



