1.ヒナタくんの左目
2.ヒナタくんの右目
3.スマホのカメラ
「いっぱいじゃねえ……」
「高性能だから三つある……」
「わかった。じゃあオレが目瞑ってればいいんでしょ」
「ハイ」って。……ほんとにしたよ、彼。違うんです。そういう意味で言ったんじゃないんです。それでもカメラだけで三つあるから。
「……残るの、恥ずかしい」
「罰ゲームなんだから当たり前じゃん」
「ひ、ヒナタくんそれ、どうするの……?」
「毎日のように聞いて涙流す」
「泣くの!?」
慌てて顔を上げたら、それはもう楽しそうな笑顔とかち合って。ブヒッと鼻を押された。そんなやりとりをしていたら、また棒を倒してしまった。
……ヤバい。ヤバいよ。全然学習能力のないわたしにも驚くけど。これ、完全にわたし、ヒナタくんに今ここで愛を叫ばないといけなくなったよ。……あ。違うよ! 囁くんだって……!
(まだこの観光客の前で、海へ青春っぽいこと叫んだ方がましだ……)
んなこと思ってても、罰ゲームをすることは変わりないし、背中の冷や汗が止まるわけではない。
「……? ヒナタく」
なので、ここからどうしようかとあれこれ考えていたときだった。何を思ったのか。彼がわたしの麦稈帽子を、そっとずらしたのは。
――――海が波打つ、音がする。
「海の家にイケメンがいるんだって!」
「やっば! 早速偵察に行かないと!!」
誰かがどこかで、そんな話をしているのが聞こえる。
「……そんな顔しないでよ。砂に埋めたくなるでしょ」
心臓の音がする。
「そんなこと、言われても……」
「早く落ち着け」
「ぅえっ!? お、怒ってる……?」
「そりゃそうに決まってるでしょ。誰がそんな顔見せびらかしたいと思ってんのさ」
こんな顔にしたのは、紛れもなくあなたなんですけどね。というか砂に埋めたい顔ってどんな顔ですか……!
若干不貞腐れ気味の彼は、帽子を直してくれたかと思ったら、首に掛けていたタオルでわたしの顔全体を覆ってくる。……待て待て待て。お口とお鼻まで塞がってますよ。
「ぷはっ!」
「ちょっと。まだ赤い」
「誰のせいだと思ってんの?!」
「ん? オレのせいでしょ?」
「そうだけどそうじゃない!!」
さっきとは違う意味で真っ赤になってるんです! 死にそうだったから!! こういう反応こそ君は見たいんでしょうけどっ。
恨めしさを込めて軽く睨むと、なぜか彼は可笑しそうに笑ったあと、すっとさっきの距離の一歩手前まで一気に距離を詰めてくる。
「オレは別に、これなら見せびらかせてもいいけど?」
んなこと耳元言いやがったから、慌てて麦稈帽子に隠れた。
「どーしたんですか? あおいさん」
「どうやら日焼けしたみたいなので、帽子にかくれております」
「完全に顔埋まってるけど大丈夫? 息できないんじゃない?」
「大丈夫じゃないのでちょっとほっといてください」
「じゃあ、オレが日焼止め塗りたくってあげるよ。全身に」
「もうたくってきました」
「なのにもう赤いんだー」
「……。ひなたくんが」
「ん?」
「……見せたくないって、言ったのに。赤くなっちゃった、から」
「…………」
「赤くなって……。ごめんなさい」
「いや、違え」



