すべての花へそして君へ②


「ソースが命! 粉もんの戦士! そう! わたしが『たこ焼きマン』!!!!」


 し~ん。


「あんまん? ピザまん? カレーまん? いいや! わたしは『豚まん』で!!!!」


 し~~ん。


「……青椒肉絲? 回鍋肉? 焼き飯……。そんなもの、この『餃子マン』には効かないアルよ! 食らうアル! ニラとニンニクいっぱいの焼き餃子ーっ!!!!」


 し~~~ん……。


「……ヒナタくん。そろそろネタが尽きてきたよ」

「あ、そうなの? まあここまであるのも驚きだけどね」


 負け続けているわたしは、手持ちの一発芸をヒナタくんに全力でするという、辱めを受けています。そして彼に、それをばっちり動画に撮られてます。……どうするんですかね、それ。


「もうここはいっちょ、腹芸でもするしか……」

「それはしなくていい」


 ちなみに、三連発は全部顔芸でしたが、その辺は皆さんのご想像にお任せします。ピクリともしないくらい、面白くなかったらしいのでね。


「……だったら、何したらいい?」

「ほんとに底尽きたんだね」

「だからそう言ってるじゃないですか……」


 ほんと、ヒナタくんひとつも笑ってくれないんですけど。渾身の一発芸だったのにっ。底無しメンタル面も、とうとう限界だよ。


「あ。だったら、オレに愛を囁いてよ」


 ――はい!?


「え。いいじゃん。ダメ?」

「こ、……こんなところで、ですか」

「いっつもどこでも囁いてくれるじゃん」

「……ちょっと待て。そんなに囁いた覚えはないぞ」

「いっつもどこでもサラッとオレにプロポーズしてくるじゃん」

「……なんでちょっと怒ってるんだ」


「はい。だから言えるでしょ」……って。なぜバッチリカメラを向けてくるっ。


「じゃないと罰ゲームにならないでしょ」


 とんだ辱めだなー……。


「……あ」


 言おうとしたけど、上手く言葉が出てこなくて口を噤んで。もう一回チャレンジしようと思ったけど……やっぱりダメだった。


「……珍しいね。そんなに恥ずかしい?」

「いっぱい目があるのが気になる……」

「い、いっぱい……?」


 首を傾げたヒナタくんに、教えてあげた。