「ソースが命! 粉もんの戦士! そう! わたしが『たこ焼きマン』!!!!」
し~ん。
「あんまん? ピザまん? カレーまん? いいや! わたしは『豚まん』で!!!!」
し~~ん。
「……青椒肉絲? 回鍋肉? 焼き飯……。そんなもの、この『餃子マン』には効かないアルよ! 食らうアル! ニラとニンニクいっぱいの焼き餃子ーっ!!!!」
し~~~ん……。
「……ヒナタくん。そろそろネタが尽きてきたよ」
「あ、そうなの? まあここまであるのも驚きだけどね」
負け続けているわたしは、手持ちの一発芸をヒナタくんに全力でするという、辱めを受けています。そして彼に、それをばっちり動画に撮られてます。……どうするんですかね、それ。
「もうここはいっちょ、腹芸でもするしか……」
「それはしなくていい」
ちなみに、三連発は全部顔芸でしたが、その辺は皆さんのご想像にお任せします。ピクリともしないくらい、面白くなかったらしいのでね。
「……だったら、何したらいい?」
「ほんとに底尽きたんだね」
「だからそう言ってるじゃないですか……」
ほんと、ヒナタくんひとつも笑ってくれないんですけど。渾身の一発芸だったのにっ。底無しメンタル面も、とうとう限界だよ。
「あ。だったら、オレに愛を囁いてよ」
――はい!?
「え。いいじゃん。ダメ?」
「こ、……こんなところで、ですか」
「いっつもどこでも囁いてくれるじゃん」
「……ちょっと待て。そんなに囁いた覚えはないぞ」
「いっつもどこでもサラッとオレにプロポーズしてくるじゃん」
「……なんでちょっと怒ってるんだ」
「はい。だから言えるでしょ」……って。なぜバッチリカメラを向けてくるっ。
「じゃないと罰ゲームにならないでしょ」
とんだ辱めだなー……。
「……あ」
言おうとしたけど、上手く言葉が出てこなくて口を噤んで。もう一回チャレンジしようと思ったけど……やっぱりダメだった。
「……珍しいね。そんなに恥ずかしい?」
「いっぱい目があるのが気になる……」
「い、いっぱい……?」
首を傾げたヒナタくんに、教えてあげた。



