「二人とも、ちゃんとわかってるんじゃないんですか?」


 けれど彼は、はあと大きなため息をつく。それによくわからず首を傾げていると、さっきまでの両サイドの威圧感が、すっと消えてなくなった。


「……ごめん。カエデさんには一応、あんたが体調悪くてここに運んでたこと言ってたんだ。それで、大人組には伝えとくからなって、そう言われたんだけど……」


 ばつが悪そうな顔をする彼は、きっとみんなに心配をかけたくなかった、わたしの心情を汲み取ってくれたんだろう。そして、彼らが知ってると言うことは、恐らくもうみんなにもバレているだろうからと。
 だからごめんと、そう申し訳なさそうにしている彼に、ううん。ありがとう。気にしないでと。笑顔で返しておいた。


「「それなら大丈夫」」


 そうしていたら、なぜか両サイドの二人が悪戯っぽく笑う。


「朝っぱらから目で会話しないでよねー」

「いちゃつくなら余所でやってね、葵」

「え。い、いやいや……」

「……どういうことですか?」


 もちろん、わたしたち二人して首を傾げる。


「よく考えてもみなよ。信人さん成人してるよ? これでも」

「これでもってどういうことかな??」


「まあ、それは置いといて。“大人組”を誰から誰までにしておこうとしたかはわからないけど、俺らが知ってるのは楓さんに会いに行ったから」

「それに、俺ら二人で女性陣の部屋覗けると思う? 覗いたら犯罪でしょ。日向くんじゃあるまいし」

「覗きはしてません」

(されそうにはなったけどね。未遂だよね……)


 二人の話によると、だ。シントは、朝っぱらから煙草を吸いに行ってるであろうカエデさんに注意をしようと部屋を出て……。トーマさんはヒナタくんの布団が綺麗だったことが気になって、捜しに行こうと部屋を出た。
 そこでばったり会った二人は、喫煙所にいるカエデさんを発見。ついでに話を聞いたんだとか。……ちなみに言うと、だ。