――じゅぽっ!
「日向、ズルい」
「え。……アキくん飴大きすぎるし。しかもさっきのオレの扱い見たでしょ? 主にキサに酷い言われようされてたけど」
「そんなの知らないもん」
「アキくん……」
あんにゃろう、またデッカい飴持って来てるし。……っていうかアキラくんさ、そのアメ口に入れるとき絶対顎の関節外れてるよね。絵面的にアウトだよ? せっかくのイケメンが。
「やっぱりズルいな~ヒナくんは~」
「いやカナ、手首縛られたままブンブン振り回さないでよ。しかも腕にユズくっついてんだからさ、そういうのあんまりよくないんじゃないの?」
「あ! あたしのことは気にしなくていいよ! かなくん好きだけど、かなくん応援もしてるから!」
「……女子って強いよね……」
全然へこたれないユズちゃんを見て、そう思ったのはきっとヒナタくんだけではないはず。そっちの面ではわたしも弱っちいから、ちょっと分けて欲しいくらいだ。
「あおいチャン、前よりよく笑ってくれるようになったけどさあ……」
「ドライは言いすぎだと思うけど、あーちゃん上手に受け流すようになっちゃったからさあ……」
「たまに極上の笑顔とか赤い顔とか見ると、オレらへの衝撃が半端ねえんだよなあ……」
「……え。いつ見たのそれ。オレも見たかった」
「いや、お前と一緒ん時だろ。わかれよ」
「え。ツバサ、いつ。ねえ、いつ?」
「んなのいちいち覚えてねえよ。……ま。友達って思い切り線引かれてる感じじゃないし、結局は葵が嬉しそうだから文句言わねえんだよ」
「……いや、文句言われてるよ、オレ」
「お前以外に誰に当たればいいんだよ。独り占めすんな」
「え……。応援してくれるんじゃないの?」
「応援してやってるからたまには譲れ」
「おかしくない? それっておかしいよね?」
何やら男性陣。よくはわからないけど、文句という文句を思い切りヒナタくんの脛へとぶつけまくっている。
「いった! 痛い!! 誰! 思いっきり蹴ったの!? ……って、揉みくちゃにして来ないでよ!!」
そして男共に埋もれるヒナタくんの図。そんな標的になっている彼は困っているようだけれど、なんだかんだで楽しそうだ。こんな様子の彼なんてとっても珍しいし、わたしも見ていてちょっと楽しい。



