✿
「……く、ふぁあ~……」
お守りっつってもなあ。特にはないだろうし、マジで保護者なだけだろ? 朝倉先生も、全然やる気ねえしよう。
(そうは言っても、日頃の仕事が体に染みついてるから起きちまうんだけどな……)
そう文句を漏らしながら、俺は喫煙所まで歩みを進めていた――
「………………」
……らだ。
「っと! おい。朝っぱらからどうしたんだよ。そんな廊下の角っこで……座敷童かと思ったじゃねえか」
小っちゃく小っちゃくなって体操座りしているヒナタを発見。
「座敷童とか勘弁してください。反吐が出る」
「……え。ど、どうした。様子と声色が全然一致してねえぞ……」
俯いているこいつから発せられたのは、相当嫌だということがわかるドスの効いた声。
「ざ、座敷童はいい幽霊さんだぞ……?」
「幽霊とかマジいりません」
そんなことを言いつつも、こいつはそこから一向に動こうとしない。
けれど、さすがにこんな状態になっているのを保護者として見て見ぬ振りをしてしまうわけにはいかなかった。
「はあ……。どうしたんだよ。せめて椅子に座れよ。ロビー行くぞ」
「座れません」
「は? ……ったく。よくわかんねぇけど取り敢えず立て。話聞いてやるから」
と、ヒナタの手を掴んだ俺は、思わずその手を離してしまった。
「おいっ。熱があるじゃねえか!」
「違います」
「嘘つくな! ……ったく、我慢しやがって。おい。担いででも部屋連れてくぞ」
そう言って再び手を伸ばそうとしたが。……ぎゅっと。抵抗と言えるかはわからない程度の弱々しい力で、ヒナタはもっと膝を抱えてみせる。
「……ヒナタ、みんなに心配かけるからって思ってるんだろ、どうせ」
「全然違います。ちょー元気です。テンションMAXです」
「……おい。様子と声色全然違うぞ、さっきから」
頭がおかしくなったのか? と思ったけど、どうやら違うみたいだ。
「か、かえでさん」
「……なんだよ」
「あいつの可愛さ、どうにかしてくれません……?」
「無茶言うな」
「……く、ふぁあ~……」
お守りっつってもなあ。特にはないだろうし、マジで保護者なだけだろ? 朝倉先生も、全然やる気ねえしよう。
(そうは言っても、日頃の仕事が体に染みついてるから起きちまうんだけどな……)
そう文句を漏らしながら、俺は喫煙所まで歩みを進めていた――
「………………」
……らだ。
「っと! おい。朝っぱらからどうしたんだよ。そんな廊下の角っこで……座敷童かと思ったじゃねえか」
小っちゃく小っちゃくなって体操座りしているヒナタを発見。
「座敷童とか勘弁してください。反吐が出る」
「……え。ど、どうした。様子と声色が全然一致してねえぞ……」
俯いているこいつから発せられたのは、相当嫌だということがわかるドスの効いた声。
「ざ、座敷童はいい幽霊さんだぞ……?」
「幽霊とかマジいりません」
そんなことを言いつつも、こいつはそこから一向に動こうとしない。
けれど、さすがにこんな状態になっているのを保護者として見て見ぬ振りをしてしまうわけにはいかなかった。
「はあ……。どうしたんだよ。せめて椅子に座れよ。ロビー行くぞ」
「座れません」
「は? ……ったく。よくわかんねぇけど取り敢えず立て。話聞いてやるから」
と、ヒナタの手を掴んだ俺は、思わずその手を離してしまった。
「おいっ。熱があるじゃねえか!」
「違います」
「嘘つくな! ……ったく、我慢しやがって。おい。担いででも部屋連れてくぞ」
そう言って再び手を伸ばそうとしたが。……ぎゅっと。抵抗と言えるかはわからない程度の弱々しい力で、ヒナタはもっと膝を抱えてみせる。
「……ヒナタ、みんなに心配かけるからって思ってるんだろ、どうせ」
「全然違います。ちょー元気です。テンションMAXです」
「……おい。様子と声色全然違うぞ、さっきから」
頭がおかしくなったのか? と思ったけど、どうやら違うみたいだ。
「か、かえでさん」
「……なんだよ」
「あいつの可愛さ、どうにかしてくれません……?」
「無茶言うな」



