「おいシント。頼むから、ここ外なの忘れんなよ」
「わかってるよ。楓も、ちゃんとボディーガード頼むよ?」
「全然わかってる風に見えねえよ……」
そんな小言を呟いてしまったカエデさんは、シントのお守り役兼ボディーガード。今日はラフな感じで、シャツとパンツで。……私服姿って見たことなかったから新鮮だけど、意外に線が細くてビックリだ。
「……ねえ。なにジロジロカエデさん見てんの」
「意外に細いんだなーって思っただけだよ?」
「あんまジロジロ見るのよくないよ」
「あ。そっか。ごめんなさ」
「4番きさ! いま~すっ。あっちゃん、それは男の醜い嫉妬なので、気にしなくていいんだよー?」
「そうだぞー。ヒナタ、男ならどっしり構えてろよ」
謝ろうとしたら、背中にキサちゃんがウフフと言いながら飛びついてきた。その横にはもちろん、そこが定位置のキク先生付き。
「あれ? そうなの? 女ならどっしり構えてろってミズカさんに教わったけど……」
「それは時と場合かな? やったねあっちゃんっ! 日向から焼いたお餅ゲットだ!」
「え? ヤキモチって喜ぶもの? 妬かせないようにした方がいいんだとばかり……」
「それも」
「時と場合だねえ~!!」
そしたら今度は、前から抱きつかれてしまった。相手はとっても可愛いユズちゃんである。
「5番! ゆずさんのお出ましだぞお~」
「わーい! じょ~し! じょーし!」
「このむさ苦しい男共の中で、たった三人なんて……って、ちょっと圭撫! だからって着いて早々ナンパすんじゃない!」
女子三人抱き合っていると、遠目に可愛い女の子集団へ声をかけているカナデくんが……。
「えー? だって、女の子いっぱいの方が楽しいでしょー?」
「かなくん。帰ってきなさい」
「……ハイ」
いつの間にか目の前からいなくなっていたユズちゃんが、タオルでカナデくんに手錠をガッチリ。ナンパ男は早々お縄についた。
彼女は今回彼に付きっ切りでいてくれるだろう。そこら辺の心配はしなくてよさそうだ。



