すべての花へそして君へ②


「でも、それってしょうがないんじゃない?」

「え?」

「あ」

「え……?」


 そう言ったオウリ君が何かに気付いたみたい。その視線を追うと、そこには今にもこぼれ落ちそうなソフトクリームが。取り敢えず、二人して一生懸命大急ぎで食べた。


「……それは、ひーくんにも相談した?」

「うん。でも、まだ焦ることはないって。そのうち選択肢が来るよって。相談してって。言われた」

「……それだけ?」

「え……?」


 バク。バク。ペロリ。
 彼は最後まで食べたあと、手元に残った紙を、クシャクシャッと握り潰した。


「はあ……(ていうか何してんの。相談とかの前に、自分が言いたいことあるなら言えばいいのに)」

「……? オウリくん?」

「あ。ごめんごめん。まあ……そのさ、太陽(、、)がギラギラしてるから、あるはずの道もあーちゃんには今見えないんだよ」

「……ちゃんとあるのかな」

「うん。あるよ。大丈夫。絶対に見つかる」

「……そっか」

「だからあーちゃんは、照りつける太陽の中、しっかり目を凝らして、いろいろ自分を探ってみたらいいと、おれは思うよ?」

「……うんっ。そうだね……!」


 もう、失敗したくないんだ。もう道を、絶対踏み外したくない。


「……大丈夫だよ」

「……うんっ。ありがとう! やっぱり相談してよかったよー! さすが聞き上手さんっ」


 わたしもパクパクパク。最後まで食べきると、ちゃんと笑えた。


「……うんっ! やっぱりあーちゃんにはその笑顔が一番だよ!」

「ありがとー! 聞き上手に褒め上手もつけましょうっ」


 声が出なかった彼。でも今は、もうとっても強い彼。その彼と二人でにっこり笑ったあとに、ゴミ箱目掛けて紙屑を投げる。
 そしてもう一度、二人で笑った。仲良く入っていった、その紙屑を見つめながら。