「それで、レンくんは高校を卒業したらどうするの?」

「オレは、そっち方面の学校に」


 月雪は、化粧品関係に強い会社だ。恐らくは美容関係に進むのだろう。……なんか、キサちゃんも行きそうだな。
 でも、てっきり留学とかするのかと思ったよ。


「それも少し考えたんですけど、やっぱり日本製のものって、海外でも結構人気だったりするんです。今までは無知と言っていいほどだったので、しっかり身につけたいなと。そして一日でも早く、あなたに『参った』って言わせます」


 なんて言うから一瞬呆気にとられる。でも、改めて考えるとそういうことじゃなかったような。


「結局はそういうことです」

「ち、違うと思うんだけど……」

「違いません。オレの意地です」

「ええー……。……ははっ」


 そっかそっか。……それなら。


「参った、ね。楽しみにしてるね?」

「それもそれでどうかと思うんですけど。……はい。未来で、待っててください」


 やわらかく笑う彼に、ああ。やっぱり大人に一歩近づいちゃったんだなーって。なんだかちょっと寂しい。喜ばしいけれど、男の子の成長って早いよねって。なんでか知らないけどお母さん気分だ。
 そんな彼とも別れ、いろんな屋台を見て歩いた。工芸品なんかもあったり、お祭りだから射的とか輪投げとか。いろいろあったけど、なぜか今は無性に冷たいものが食べたい気分。


「……あ! あんなところにソフトクリーム屋さんがああ~」


 あの、ソフトクリームの置物が目に入ると無性に食べたくなるのは、もう人間の性だと思う。


「何味にしようかな?」

「何味にする?」

「うーん。マンゴーも捨てがたいけど、夏みかんも捨てがたい……」

「それじゃあおれと分けっこしようよ!」

「うんっ! それがいいね……って! オウリくん!?」

「え。あーちゃん、今頃突っ込むの……。定番だね」

「ありがとー!」

「……お礼言われたけどよくわかんないや……」