君がそうしたことで、どうなっていくのか。その答えは未来にある。そこにしかない。
「不安なのは、また月雪自体が潰れてしまうんじゃないかってことで、合ってるかな?」
「……はい。その通りです」
これくらい、あのお方も素直にハッキリ言ってくれればいいんですけど。やれやれ。
そんなことに小さく笑いつつ、彼の胸を拳で軽く突く。
「だから、そうしないために現在がある。その答えが、レンくんの求めているものになるように。その答えは、レンくんのここにちゃんとある」
答えは、今は君の中にしか無い。それを、きちんと見つけられるかどうか。そして、それが正解だったかどうかは、この先の未来じゃないと、わからない。
「……ね? そうなんじゃない?」
「……あおいさん」
不安なのは誰にでもある。わたしにだってある。だって、答えは未来にしかないんだ。だから、今が大事。
それが未来になって過去を振り返って、『あの時ちゃんとしてたから、今こうあれるんだ』って、そう思える。もちろんその逆もありえるけど。
「……ハッキリ言う。レンくんの選択が間違いってことは絶対にない」
でも、たとえ今その選択肢を選んで、未来には不正解しか用意されていなかったとしても。それは、未来までの道のりが、不十分だっただけにすぎないんだ。「だから、安心しなさい」と「選択は間違いじゃないんだ」と「その選択をして、その次に君がどう動くかなんだ」と。彼に自信を、少しでも分けてあげられるように破顔する。
「多分、驚くと思うんですけど」
そう切り替えされたことに驚きましたけどね。うおっと! 危ない。油断していたからか、いつの間にかジェラートが結構溶けていた。……ちょっと指に付いた。
「あおいさんの付き人、していて楽しかったんです」
「え? そ、そう?」
「はい。それはもう、オレの未来に関わってきそうなほど」
「え?」
恥ずかしいのか。でも呆れちゃってるのか。照れくさそうに笑いながら、鼻でも笑ったり。
「あおいさんのそばに、ずっといたいと思うほどです」
付き人でもいい、執事でも。それか秘書とかでもいいかなって。そんなことを、ちょっと思ったりしましたと。
「……すごい。おどろいた……」
「でしょう? 自分でも、そんなことを思ったことに驚きました」



