すべての花へそして君へ②


 君がそうしたことで、どうなっていくのか。その答えは未来にある。そこにしかない。


「不安なのは、また月雪自体が潰れてしまうんじゃないかってことで、合ってるかな?」

「……はい。その通りです」


 これくらい、あのお方も素直にハッキリ言ってくれればいいんですけど。やれやれ。
 そんなことに小さく笑いつつ、彼の胸を拳で軽く突く。


「だから、そうしないために現在(いま)がある。その答えが、レンくんの求めているものになるように。その答えは、レンくんのここにちゃんとある」


 答えは、今は君の中にしか無い。それを、きちんと見つけられるかどうか。そして、それが正解だったかどうかは、この先の未来じゃないと、わからない。


「……ね? そうなんじゃない?」

「……あおいさん」


 不安なのは誰にでもある。わたしにだってある。だって、答えは未来にしかないんだ。だから、今が大事。
 それが未来になって過去を振り返って、『あの時ちゃんとしてたから、今こうあれるんだ』って、そう思える。もちろんその逆もありえるけど。


「……ハッキリ言う。レンくんの選択が間違いってことは絶対にない」


 でも、たとえ今その選択肢を選んで、未来には不正解しか用意されていなかったとしても。それは、未来までの道のりが、不十分だっただけにすぎないんだ。「だから、安心しなさい」と「選択は間違いじゃないんだ」と「その選択をして、その次に君がどう動くかなんだ」と。彼に自信を、少しでも分けてあげられるように破顔する。


「多分、驚くと思うんですけど」


 そう切り替えされたことに驚きましたけどね。うおっと! 危ない。油断していたからか、いつの間にかジェラートが結構溶けていた。……ちょっと指に付いた。


「あおいさんの付き人、していて楽しかったんです」

「え? そ、そう?」

「はい。それはもう、オレの未来に関わってきそうなほど」

「え?」


 恥ずかしいのか。でも呆れちゃってるのか。照れくさそうに笑いながら、鼻でも笑ったり。


「あおいさんのそばに、ずっといたいと思うほどです」


 付き人でもいい、執事でも。それか秘書とかでもいいかなって。そんなことを、ちょっと思ったりしましたと。


「……すごい。おどろいた……」

「でしょう? 自分でも、そんなことを思ったことに驚きました」