すべての花へそして君へ①


「……なんでそんな、かわいいんだよ、くそ……」
(※超小声で吐き出し中)

「……!?」
(※葵の耳はめちゃくちゃいい)


 そんなこと言われて。そんなかわいいことを恥ずかしそうに、顔を真っ赤にして言って。


「……ゆっくりしようと思ってもできないし」

「……?」


『まだダメ』と言った彼女へ。その線さえをも飛び越えて唇を寄せたくて仕方がないというのに。


「……もう、勘弁してよ……」

「……え、っと……」


 今まで堪えてた……いや、堪えきれなかったこともあるけどね、多々。まあそれは今置いておいて。こうなった時点で、流石にここでお預けとか。


「無理。死ぬ。吐く」

「……ぅえっ!?」


 そんな発言に体を引き剥がして確認しようとした彼女を、オレの全身全霊をかけて押さえ込みにかかる。


「動かないで」

「だって、そんなこと言われたら心配」

「する必要はない」

「……でも」

「でももだってもじゃない」

「えー……」


 こんな、……こんな。


「……今、見せられるような顔ではないのです」


 後ろから抱きついていた時もそうだったけど。同じように言ってた彼女の言葉を借りて、思い切り彼女がいない方を向きながら、ベッドへ顔を耳を押しつける。

 ……今だけは見られたくない。めっちゃ顔あっつ。超ハズい。