「……なんでそんな、かわいいんだよ、くそ……」
(※超小声で吐き出し中)
「……!?」
(※葵の耳はめちゃくちゃいい)
そんなこと言われて。そんなかわいいことを恥ずかしそうに、顔を真っ赤にして言って。
「……ゆっくりしようと思ってもできないし」
「……?」
『まだダメ』と言った彼女へ。その線さえをも飛び越えて唇を寄せたくて仕方がないというのに。
「……もう、勘弁してよ……」
「……え、っと……」
今まで堪えてた……いや、堪えきれなかったこともあるけどね、多々。まあそれは今置いておいて。こうなった時点で、流石にここでお預けとか。
「無理。死ぬ。吐く」
「……ぅえっ!?」
そんな発言に体を引き剥がして確認しようとした彼女を、オレの全身全霊をかけて押さえ込みにかかる。
「動かないで」
「だって、そんなこと言われたら心配」
「する必要はない」
「……でも」
「でももだってもじゃない」
「えー……」
こんな、……こんな。
「……今、見せられるような顔ではないのです」
後ろから抱きついていた時もそうだったけど。同じように言ってた彼女の言葉を借りて、思い切り彼女がいない方を向きながら、ベッドへ顔を耳を押しつける。
……今だけは見られたくない。めっちゃ顔あっつ。超ハズい。



