すべての花へそして君へ①


「……えっと。ひ、ヒナタくん」

「ん?」

「えーっと。だ、だんだん体重が重くなっていってる気が……」

「オレのこと軽いって言ってたのにー」

「えっ。さ、支えた方がい」


 女としてあるまじき発言をする前に、ぐっと体重を掛けて二人してベッドに倒れ込む。
 いつでも何度でも好きって自覚するけど、こういうことに関してオレよりも勝ってるのは、やっぱりいただけない。いや、勝てないけど。気分の問題。

 そして今、絶好調に限界。


「体重掛けてるんだから、重いのは当たり前でしょ?」

「な、……何故」


 普段なら、もしかしたらオレの体調とかを気にかけるかも知れない。でも、そう言わないのは。


「言ったじゃん。こうしたいって」

「……えっと」

「重い……?」

「……。おもく、ない」


 耳を掠める、オレの低めの声に息に。頬を撫でるオレの指に。完全に被さっている、オレの体に。体温に。雰囲気に。“こうしたい”ことが何かを、きっと彼女は感じ取ってしまったからだろう。


「重くはないけど、……こそばゆい」

「ん? どこが?」

「……ひゃ!?」


 フーとわざと息を吹きかけると、面白いように、オレの下でビクッと体が震える。それにクスクスと笑っていると、抗議をするようにほんの少しだけこちらを向く視線と、至近距離でかち合った。近すぎて、合っているのかすらわからないけど。


「……あおい」


 今のオレには、そんなことどうでもよくて。そのほぼゼロの距離の“ほぼ”をなくしたくて。吸い寄せられるように小さく名前を呼びながら、そっと唇を寄せた。