「……えっと。ひ、ヒナタくん」
「ん?」
「えーっと。だ、だんだん体重が重くなっていってる気が……」
「オレのこと軽いって言ってたのにー」
「えっ。さ、支えた方がい」
女としてあるまじき発言をする前に、ぐっと体重を掛けて二人してベッドに倒れ込む。
いつでも何度でも好きって自覚するけど、こういうことに関してオレよりも勝ってるのは、やっぱりいただけない。いや、勝てないけど。気分の問題。
そして今、絶好調に限界。
「体重掛けてるんだから、重いのは当たり前でしょ?」
「な、……何故」
普段なら、もしかしたらオレの体調とかを気にかけるかも知れない。でも、そう言わないのは。
「言ったじゃん。こうしたいって」
「……えっと」
「重い……?」
「……。おもく、ない」
耳を掠める、オレの低めの声に息に。頬を撫でるオレの指に。完全に被さっている、オレの体に。体温に。雰囲気に。“こうしたい”ことが何かを、きっと彼女は感じ取ってしまったからだろう。
「重くはないけど、……こそばゆい」
「ん? どこが?」
「……ひゃ!?」
フーとわざと息を吹きかけると、面白いように、オレの下でビクッと体が震える。それにクスクスと笑っていると、抗議をするようにほんの少しだけこちらを向く視線と、至近距離でかち合った。近すぎて、合っているのかすらわからないけど。
「……あおい」
今のオレには、そんなことどうでもよくて。そのほぼゼロの距離の“ほぼ”をなくしたくて。吸い寄せられるように小さく名前を呼びながら、そっと唇を寄せた。



