すべての花へそして君へ①


『皆さんの荷物が置いてある離れ。そこの大広間が祝賀パーティーの会場だ。すっかり遅れた主役さんたちのおかげで、ほぼほぼ準備は整ってるぞ』


 つまりオレが皆さんを集め、そして全ての事実を話した場所。そこへ、みんなが待っている。


(……というのはちょっと隅っこに置いといて)


 何よりもパーティーに行くべきなんだろうけど、それどころじゃないからマジで置いといて。お願いだから置かせておいて……。

 スタスタスタ――。


「うえっ!? ちょ……っ、ヒナタくん!?」


『その離れの応接間。お前がシントに用があるっつって乗っ取った場所な』


 別に、乗っ取ったつもりなんてないんだけど。けどあの時は、本当にどっちに転げるかわからなかったから。
 シントさん。あの人は本当に頭がいい。主人がバカだから、彼もバカではあるけど……でも、オレは彼には敵わない。頭の良さは、あおいに次ぐだろう。この二人はずば抜けてる。
 その彼を、どうにかしてこちら側にする必要が……ねじ伏せる必要があったから、完全に脅したけど。正直めちゃくちゃ楽しかったけどね、あの慌てよう。


(その、応接間の――)


『部屋の奥にある扉。鍵開いてるから』


 スタスタスタ――。


『そこは皇で唯一()()()()()()()()場所だ。マジでとっておきだからな? 俺がそこで仕事さぼってること、誰にも言うんじゃねーぞ』


 ――そこ、勝手に使え。