すべての花へそして君へ①


「しょうがねーから、使われてやるよ」

「邪魔したんで、それくらいしてください」

「止めてやったんだろうが」

「さあ。何のことだか」


 すっかり元の調子のヒナタ。一瞬呆れはしたものの、安心したのは事実。


「……それじゃ、お願いします。カエデさん」

「へいへい。厨房の奴らにキレられそうだけどな」

「それについては、オレがただ単に食べたくなっただけなんで」

「ま。よく頑張った功労者のためなら、これくらいなんてことねー……よっ!」


 わしゃわしゃと、もう見られないであろう頭を撫でて。最後にもう一発激励を込めて背中を打っ叩いた俺は、頭に二つのものを思い浮かべながら、執事モードで皇を後にした。