そんなどうでもいいことにオレも彼同様小さく笑い、息を吐くように言葉を紡いだ。
「皆さんに許されないと、オレは前に進めません」
「だからって謝るのか?」
「はい。進みたいんです。あいつと一緒に」
そして、迷いの無いオレの言葉に、彼はパチパチと瞬きした。でも、それもすぐに嬉しそうな表情に変わる。
「じゃあ、謝ってこい。許すこともないって言われるのが落ちだろうけどな」
「だと思います。……だから、あいつと一緒にいってきます」
「おう。いってこい。許してもらえるもんなら許してもらえ」
「はは。 ……はい。そうですね」
罪を負わせてしまった人の前で、こんな風に笑えるとは思ってもみなかった。
それもこれも、オレに関わった人たち全てがやさしすぎる人たちばかりで。……そして何より、オレの救いたかった人が、誰よりもやさしくて温かいからだ。
(ああ……。どうしよう)
愛おしい想いが、止めどなく溢れ出てくる。背を向けている小さな体を、キツくキツく抱きしめたい。彼女に触れたくて、仕方がない。
(……どうしようもないくらい)
あおいへの想いが溢れ出ていた。



