「……わたし、『今日』があると思ってなかったんだ」
「なにそれ。オレが助けるって信じてなかったってこと?」
「言ったでしょ? ちゃんとわたしは信じてた」
「だったらなんでそんなこと言うの」
「たとえ信じていたとしても、0.1%にさえ満たなくても『今日』がない可能性だってあったからだよ」
それが今、彼の綿密な計算によって0%になった。こうしてまた、みんなと過ごすことができる。君の傍に、いられるんだ。
「幸せだよ? 今、こうしていられることが。『今日』という日があることが」
それでもわたしは……わたしは、君の隣に立っていられるように。
「……ううん。違う」
わたしが、これからずっと、君の隣に立っていたいから。――だから。
「いつまでも、ふわふわしてたらいけないんだ」
「……」
「わたしがいつまでもそうだと、……ずっと動かないままだから」
だからわたしは、きちんと区切りをつけに行かなければいけないんだ。
「……正直、必要ないと思うんだけど」
「もしなくても。……行く」
「正直、来られるのも嫌だと思うけど」
「それでも。……行く」
「わざわざしんどい思いしに行くの」
「わたしなんか、しんどい内に入らないよ」
もしかしたら、会ってくれないかも知れない。わたしと話すことさえ、拒否されてしまうかも知れない。……本当に、嫌がられるかも知れない。それでもわたしは、行かなくちゃいけないんだ。
「……バカだね。ほんと」
「ヒナタくんもそこそこバカだと思うよ?」
「それもあおいには勝てないけどね」
すっかり眉毛を下げて。こんなバカなわたしにやさしく笑ってくれる、どうしようもないくらい好きな彼を。……わたしは絶対幸せにするんだから。



