すべての花へそして君へ①


「……わたし、『今日』があると思ってなかったんだ」

「なにそれ。オレが助けるって信じてなかったってこと?」

「言ったでしょ? ちゃんとわたしは信じてた」

「だったらなんでそんなこと言うの」

「たとえ信じていたとしても、0.1%にさえ満たなくても『今日』がない可能性だってあったからだよ」


 それが今、彼の綿密な計算によって0%になった。こうしてまた、みんなと過ごすことができる。君の傍に、いられるんだ。


「幸せだよ? 今、こうしていられることが。『今日』という日があることが」


 それでもわたしは……わたしは、君の隣に立っていられるように。


「……ううん。違う」


 わたしが、これからずっと、君の隣に立っていたいから。――だから。


「いつまでも、ふわふわしてたらいけないんだ」

「……」

「わたしがいつまでもそうだと、……ずっと動かないままだから」


 だからわたしは、きちんと区切りをつけに行かなければいけないんだ。


「……正直、必要ないと思うんだけど」

「もしなくても。……行く」

「正直、来られるのも嫌だと思うけど」

「それでも。……行く」

「わざわざしんどい思いしに行くの」

「わたしなんか、しんどい内に入らないよ」


 もしかしたら、会ってくれないかも知れない。わたしと話すことさえ、拒否されてしまうかも知れない。……本当に、嫌がられるかも知れない。それでもわたしは、行かなくちゃいけないんだ。


「……バカだね。ほんと」

「ヒナタくんもそこそこバカだと思うよ?」

「それもあおいには勝てないけどね」


 すっかり眉毛を下げて。こんなバカなわたしにやさしく笑ってくれる、どうしようもないくらい好きな彼を。……わたしは絶対幸せにするんだから。