すべての花へそして君へ①


『誰に言ってんだへんたーい!!!!』って、心の中で叫びながら高速スピードでお出かけ服にチェンジ。……わかってたけど。やっぱりわたし、変態だ。わかってたけど。
 いいのか? 悪いのか? いやいやヒナタくんに変態だと思われたくはな――


(いや。思ってたね、そういえば……)


 それは……いいと思っていいんだろうか。ものすごく複雑ではあるけれど。……でも。嫌じゃなかったのは本当だ。それに、わ。わたしも触りたかったから抱きついたんだもん。


「……ひなたくんの。えっち」


 準備万端になってしまったので、寝ている彼にそう文句を垂れることに。


「お胸さんの上で爆睡ですか。気持ちよさそうに寝ちゃって」


 ほっぺをツンツンと突いてみるけれど、一瞬眉を顰めただけでそれもすぐに戻ってしまった。


「……。ちゅー。してほしいなー」


 って、また勝手にそんなことを言った口を慌てて塞いだ。さっきも言っちゃったしっ。な、なんてわたしはふしだらなんだ。


「……んん」

「……! ……ひなたくん?」


 起きたかな? と思って声をかけるけれど、一瞬眉を寄せただけ。それがまたかっこいいのなんのって。……ふふ。どんな夢を見てるんだか。


「……。いってきます。ひなたくん」


 そんな、気持ちのよさそうに眠っている彼の頬へ。そっと口付けを落とす。


「ん……」

「――!?」


 わたしってば、また……な、何を勝手に。
 流石に起きちゃったかなって。そう思ったけど。


「……ぁぉぃ……」

(……うっわっ)


 小っちゃくかわいく寝言で呼んでくれるとかっ。……は、鼻血が出るっ。

 そんなかわいい彼に我慢できず。もう一回、ほっぺにちゅーをして。


「いっ、いってきますっ。……すぐ。本当にすぐ、帰ってくるからねっ」


 ハンドバッグとティッシュ箱を引っ掴み、かわいい彼と溢れそうな欲望から逃げるように。わたしは、スヤスヤと彼が眠る部屋を後にしたのだった。










「……」


 だから、彼女が知ることはなかった。



「……あ、おい……」


 自分の名前を呼ぶ彼が、