すべての花へそして君へ①


 ――カシャ!


(わわわ! 音大っきいよっ)


 かわいさに耐えきれず、気付けば写真を撮っていた。


(……お、怒られちゃう、かな)


 すぐにゴミ箱ボタンと格闘になるけど……今度ヒナタくんに持っていていいかだけ聞いてからにしよう。


(だったら、わたしの写真も消してって言えばいいんだしっ)


 わたしの場合は消さなくても別にいいんだけど、上手に撮れたから、ヒナタくんご本人に評価してもらうことにしよう。うんっ。

 写真のことで一つ、思ったことがある。文化祭の時の写真だ。展示の中に、父と母が、それぞれわたしの知らない人たちと写っている写真が混じっていた。
 あの時は、彼らも人質に取ったのだという脅しにしか、わたしと離れた彼らは幸せに暮らしているという嫌みにしか受けとれられなかった。


(はは。そう思ったら性格悪いな、わたし)


 けれど、彼の話を聞いてなんとなく思ったんだ。


(あの写真を撮ったのはきっと乾さん。それから、どうしてあんなところに写真をこっそり飾ったのか)


 きっと、間違いではないだろう。また、会いに行ける時は、きちんとお礼を言わないと。


(『二人とも、元気にしてるからね』って。……きっと、そういうつもりでわたしに教えてくれたんだろうな)


 どうして乾さんのこととか、アザミさん、エリカさんのことに気付いてあげられなかったのか。……それはきっと、もう考えが邪魔してたからなんだろうな。それを今、かなり悔いてる。

 それから、もう荷物は整理しておいたから、取り敢えずいろんな意味での試合が終わったので、ユニフォームを着替えることに。


(うーん。痩せたからやっぱりこのブラが丁度よかったな)


 同じサイズでも、やっぱりデザインによってカップの形が変わってくる。痩せる前は、ちょっと苦しかったからあんまり着けたりしなかったんだけど……段ボールの奥底にあったから、ちょっと手間取っちゃったよ。


(……それに、お花かわいいから)


 とか思っていたら、ほんの少し前彼に触られちゃったことを思い出して、全身が熱くなった。


(熱っ。熱い。治まってえぇぇ)


 バシャバシャ顔に水をぶっかけるけど、なかなか治まらない。


(……恥ずかしい)


 けど、……いやじゃ。なかった。よっ。