でも、目の前のチカは、また泣きそうな顔をしていた。
「……ほんと。お前らには。敵わねえよ」
「オレもあいつには敵わないけどね」
「違いねえ」
そんな顔で、こんなオレに目一杯笑うんだ。
「気付いてもらって。よかったな。ひなた」
「……うん。それに、許してももらえた」
「よかったな。ひなたっ」
「……うん。ほんと……よかった」
心からオレの幸せを喜んでくれるこいつに。オレも、何かしてやりたい。
「……オレも。ちゃんとチカのこと見てるよ」
「……要らねえ」
「遠慮しなくていいって。今まで迷惑かけたお詫びだよ」
「もっと迷惑かけられそうだから要らねえ」
「素直じゃないね」
「お前に言われたくねえわ」
オレの幸せは、オレらの幸せは。みんなが、本当に幸せになることだから。
……だから。ちゃんと見てるよ。チカを一人になんて、するわけないでしょ。オレの、大事ないじり対象なんだから。
「まずは卒業記念にタンスをプレゼントするね」
「おい」
「ちゃんと見ててあげるから。チカの歩く道の前には必ずタンスを一定の間隔で置いててあげるよ」
「オレに路頭に迷えって言ってんのかお前は!」
「え。違うよ。タンスに小指ぶつけてって言ってるんだよ」
「最終的にはそういうことだろーがあ!!」
「そんなに喜ばなくても」
「喜んでねーよ!!!!」



