「あ。ホクロ発見」
わたしが知らない場所へ、熱い唇が音を立てて落ちてくる。
「……あっ、ん」
出た声に慌てて口を塞ぎにかかるけれど、背中の敵は容赦なくわたしを攻めてきた。
徐々に上がってくる熱に耐えながら、ズレそうになるブラを押さえながら、片手で口元を押さえていたけれど。
「んっ!? はっ、ひなたく」
本当に容赦なく、お腹に回った腕までも上に上がってきた。咄嗟の判断で口元の手でその悪戯な手を止めにいったけど、そうしたらもう、口を塞ぐものはないわけで。
「んん……っ」
いつの間にか首元まで上がってきた熱い唇に、肘で下着を押さえながら必死に声を出さないよう努めた。
「……声、聞きたいんだけどな」
「は、恥ずかしいから、出したくないんだけどな……」
後ろから覗き込むように声をかけてきた彼に、少しだけ振り向きながら。一応、必死に訴えかけてみる。こんなわたしの要求を、ご主人様が呑んでくれるとは思ってないけど。
「……恥ずかしいんだ」
「……はい」
「嫌じゃ、ないんだ」
……絶対わかってて聞いてるし。
わたしがヒナタくんにされて嫌なことなんて……ないのに。
「……そっか」
嬉しそうに弾んだ音にもう一度振り返ると、音通りに笑っている彼がいて。ちゅっと頬に一つかわいい音を立てたら、スリスリって首元に擦り寄ってきた。
そんな彼に小さく笑って、わたしも黒い髪に擦り寄った。
「嫌だったら本気で逃げてね」
けれど、そんなかわいかった彼はあっという間に遠くの彼方へ~。
耳元で吐き出した吐息に全身がゾクゾクと震えると同時、十分ご存じのわたしの苦手な場所を攻め始めた。
「んっ、あ……っ」
耳だけならまだよかったかも知れない。いや、苦手な場所をそう何度も攻めてこないで欲しいけれど。
ピッタリとくっついている背中の敵の手が、本格的に上を目指しに来ていた。
「んっ、やあ。……っん」
まだ、その手だけならよかったかも知れない。それだけなら、防げる自信は100%あった。
けれど、耳を攻められ首筋を攻められ。吸い付くような熱い唇に。「あおい」と求める熱い声に。「かわいい」と「好き」と、触れる度、わたしの体が跳ねる度、声を上げる度。「愛しい」と告げてくる甘い言葉に。次第に、わたしは抵抗できなくなっていった。
「……んあっ」
そして、結局わたしが負ける。執念の粘り勝ち、とでも言うんだろうか。そこへとたどり着いた敵の手は、やさしくわたしを包み込んでいた。……変な声が出た。すごい。恥ずかしいっ。
けれど、それ以上彼は動かない。……え? もしかして、あんなに激しく攻めてきたくせに寝たんですか、あなた。
とか、ちょっと思ったからチラリと捻られる限り首を捻ってみた。
「……。え。な、何故?」
何故頬を膨らませていらっしゃるんですか?
なんでそんなむくれて……ここまでしておいてっ!!



